【あんな食品まで?!】進歩し続ける食品の凍結方法

凍結技術は、ただ食品を凍らせて解凍するだけだと思っていませんか?

食品分野では、様々な凍結方法が開発されています。凍結した食品を利用して、より便利な商品開発がされ、様々な活用がされています。

今、注目が集まっている凍結乾燥法(フリーズドライ)凍結浸含法、そしてこれらの凍結方法の品質を左右する急速凍結技術についてご紹介します。

お湯を注ぐだけで元通り「凍結乾燥法」

凍結乾燥法とは、凍結させた食品を真空状態にして昇華によって乾燥させる方法です。
別名、フリーズドライと呼ばれています。

フリーズドライの仕組み
出典:http://www.dotwan.jp/fs/dotwan/c/fd

通常の乾燥は液体から気体へと蒸発しますが、凍結乾燥は固体から気体へ変化する昇華という現象を用いています。
凍結させた食品を真空状態におき、気圧を下げることで水分を昇華させることができます。

どのような原理かというと、凍結すると食品中の水分は氷になります。氷の状態で昇華すると、もともと氷だった空間に空洞ができ、食品内部がスカスカになります。

その空いた空間に水分が入ると、簡単に元の状態へと復元することができます。

凍結した状態で乾燥させるので食品の成分変化がほとんどなく、色や味や風味、栄養価を保持することができます。水やお湯を加えるだけで、すぐに元の食品の状態へと戻るので簡単に食べることができます。

もともとは救急医療の分野で、輸血用の血液を離れた場所へ運ぶ目的として開発されました。インスタントコーヒーや即席麺の販売によって、1970年ごろから日本の食品業界に広がりました。

凍結乾燥させた食品は水分量が少ないため、酵素や微生物の活動を抑制させることができるので腐敗や劣化を防ぎます。
ですので、保存料などの添加物を使わなくても、食品を長期間保存することができます。

今では、味噌汁やカレー、スープ、お粥、親子丼や中華丼などの丼物や惣菜など、様々な商品の開発が進んでいます。また、宇宙食の分野でも使われています。

食品を軟らかくする「凍結含浸法」

凍結含浸法は、生もしくは加熱した野菜などを凍結して酵素液に浸し、解凍と同時に減圧することで酵素を急速に食品内の細胞に染みこませる方法です。

食品を凍結させると食品内の水分が凍り、氷結晶を形成することで組織が膨張し、解凍させると食品内の組織は元の大きさに戻ります。
凍結させた食品を酵素液に浸し減圧しながら解凍すると、食品内部の組織は膨張して、組織内の空気に換わり酵素液が内部まで浸透します。

酵素液から取り出し加熱させれば酵素の作用が消失し、食品本来の風味や見た目を保持したまま軟らかい食品を作ることができます。

歯茎で潰せることができる軟らかさにすることができるので、凍結含浸法は病院食や介護食に利用されています。

現在の一般的な介護食では、ミキサーで潰したものやお粥のように煮込んだものを、ゲル化剤でゼリー状にして提供しています。栄養上では全く問題はないのですが、食事を楽しむという観点では改善の余地があります。

凍結含浸法を利用すれば見た目は普通の野菜と変わりませんが、舌や歯茎で潰せるので咀嚼が難しい高齢者でも安全に食べることができます。

例えば、タケノコやニンジンなどの野菜が、ババロアのような食感になり簡単に潰すことができます。

凍結含浸法のタケノコ
出典:https://www.roken-akashiya.org/about/point/ganshinshoku/

加熱によって軟らかくするわけではないので、加熱時間を短縮することができ、風味や栄養素が失われにくいというメリットがあります。
食品自体に含まれている成分を酵素分解するので、アミノ酸や機能成分をつくることができ、加工する過程でビタミンなどの栄養が失われることがありません。

酵素濃度や時間を調整することで、根菜などの硬い野菜も軟らかくすることができます。野菜の場合は酵素液としてペクチナーゼを用いますが、用いる酵素を変えることでキノコや肉、魚に対応することが可能。

また、リンゴやバナナなどの果物の軟化にも成功しています。

凍結含浸法の装置自体が低コストで、病院や施設で加工調理することができるので、導入が広がっています。
また、一般食品や機能性食品の開発に応用させることができ、活用が期待されています。

食品の凍結には欠かせない「急速凍結技術」

凍結乾燥法も凍結含浸法も凍結させた食品を使った技術なので、凍結状態によって品質の良し悪しが変わります。良い状態で凍結した食品を使うと、より高品質な仕上がりにすることができます。

高品質な凍結を可能にするのが、急速凍結の技術です。

もともと食品の凍結は、酵素の働きや微生物の働きを抑制し、長期間保存することを目的としていました。凍結することで食べることができる品質を保持することはできますが、食品を凍らすと味や風味が落ちるというデメリットがありました。

急速凍結は凍らすことで生じるデメリットを克服し、凍結前と変わらない美味しさを保持することができます。

急速凍結は、急速に食品を凍結させ食品内の水分が凍る温度帯、-1℃~-5℃の間を素早く通過させることを最重要ポイントとした凍結方法です。

凍結すると品質が落ちる原因は、食品内の大部分を占める水分が凍る際に氷の結晶となり食品の細胞を破壊し、旨味成分や栄養分とともにドリップが流出してしまうこと。

氷結晶が小さければ細胞を破壊しないので、品質を落とさずに凍結することができます。急速凍結することで、氷結晶の成長を抑制し細胞破壊を防ぐことができるので、食品の品質を守ることができます。

急速凍結には様々な方法があります。

-40℃~-50℃の冷風を当てて食品を凍結させる、エアーブラスト凍結
エアーブラスト凍結に磁場の作用を融合させた、磁場・電磁波凍結。
食塩水や塩化カリウム溶液、アルコール液などのブライン液に漬けて凍結させる液体凍結
-196℃の液化窒素を食品に吹き付けて凍結させる方法などがあります。

用途や凍結したい食品によって向いている凍結方法はありますが、急速凍結することで食品の品質は格段に向上します。

生鮮品から調理品まで幅広い食品に対応することができ、とれたての鮮度、つくりたての味を再現します。

例えば、鮮魚の冷凍においても解凍時のドリップを最小限に抑え、刺身として食べることができる鮮度を保持します。また、今まで冷凍が不向きと思われていた食品の冷凍も可能になります。

食品加工場や飲食店、スーパーなど様々な場所で急速凍結機は導入され、数多くの食品が急速凍結されて流通しています。

冷凍食品の製造で多大な効果を発揮していますが、それだけではなく急速凍結した食品を利用して、凍結乾燥や凍結含浸させる商品開発も進んでいます。

まとめ

凍結乾燥法や凍結浸含法など、凍結した食品を活用した技術がどんどん開発されています。

しかし、それらの技術も品質の良い凍結があってこそ。

急速凍結することで、より多くの食品が品質の良い状態で活用されています。

進歩し続ける食品の凍結方法を支えるという側面からも、急速凍結は重要な技術と言えるでしょう。

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この記事の監修者

木下 昌之

デイブレイク代表
木下 昌之

70年続く老舗冷凍機屋の3代目。2013年、特殊冷凍テクノロジー×ITを軸に国内唯一の特殊冷凍機の専門会社としてデイブレイクを創業。各種メディアや書籍「フードテック革命」にてフードテック企業の代表格として紹介されるなど、「急速冷凍」をコアに食品流通業界の根本改革に邁進中。

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