【野菜の保存期間を劇的に延ばす!】ブランチング処理とは?
野菜を冷凍すると、水分が出てしなっとしてしまいますよね。
それを防ぐための、“ブランチング”というテクニックをご存知でしょうか。家庭でも簡単にできる、野菜の冷凍品質をグッと上げる方法です。
野菜をこれから冷凍しようとしている方、野菜の冷凍方法に悩まれている方は必見です!
目次
ブランチング処理とは
ブランチング処理とは、野菜などを冷凍する前に、冷凍耐性を高め保存期間を延ばすためにさっと下茹ですることをいいます。野菜を冷凍すると、解凍した時に中の水分が出てしなっとしてしまいます。ブランチング処理をすることで野菜の組織が柔らかくなり、冷凍に強くなります。
また、酵素を失活させるため変色などが起こりやすい野菜の劣化も止めることができます
ブランチング処理に向いている野菜
枝豆などの豆類、イモ類、コーン、カボチャ、ホウレンソウなどはよく冷凍前にブランチング処理されます。
逆にエリンギなどのきのこ類、小松菜、玉ねぎ、トマトなどはブランチをせずに冷凍することが多いものになります。
きのこ類は含まれる水分量が少ないので冷凍に強く、ブランチをする必要がありません。また、トマトなど加熱すると崩れるものはそのまま冷凍するとよいでしょう。
ブランチング処理の効果
野菜の冷凍耐性があがる
食品が冷凍に強いかは、食品の組織の強さと含まれる水分量で決まります。組織が弱く、水分量が多いと、冷凍した時に氷の結晶が細胞を壊してしまいドリップにつながります。
野菜は8割から9割が水分で出来ているので冷凍に弱いのです。野菜をさっと茹で、流水で冷やすことで組織が柔らかくなり、冷凍に強くなるのです。
酵素の働きが抑えられる
野菜はポリフェノールや酸化酵素などが含まれており、貯蔵中に酸化することで切断面の変色を引き起こします。
加熱処理(ブランチング)をするとこれらの酵素の働きが抑えられ、保存している間に野菜が変色するのを防げます。変色しやすい野菜としてはジャガイモやレンコン、ゴボウなどがあります。
殺菌効果
食品表面の細菌を殺す衛生面での効果があります。熱湯に通すと10秒間で90%、1分間で99%以上の菌が殺菌できます。
菌がついているのは野菜の表面だけなので、ブランチング処理をするとほとんどの菌を殺菌できます。
野菜をブランチング処理して冷凍する方法
今回は葉物野菜としてほうれん草、根菜としてニンジンをブランチング処理します。
ほうれん草のブランチング処理
1.ほうれん草を洗います。根のほうの汚れもしっかり落としましょう。
2.沸騰したお湯に野菜を入れ、さっとゆでます。加熱時間は野菜の種類や大きさによりますが、10秒から30秒くらいが目安になります。お湯に塩を一つまみ加えると茹でた後の色味もよくなります。
ほうれん草や小松菜は固い根の部分から先に茹でるのがポイントです。
2.ざるに揚げ、冷水で一気に冷やします。
3.水気を切り、使いやすい大きさに切ります。お浸しなどにする場合は3等分がちょうど良いでしょう。
3.水気をしっかりふき取ります。
水気が残ったまま冷凍すると霜が付いて野菜を傷めてしまうので、ペーパータオルなどでしっかりふき取りましょう。
4.1フリーザーパックに入れて冷凍します。閉じるときに出来るだけ空気を抜きましょう。保存中に酸化したり、変色したりするのを防げます。
【より高品質に冷凍したいとき】
4.2冷凍庫に余裕があれば金属トレーの上にのせて冷凍しましょう。金属の熱伝導率は空気の30倍以上なので、より早く冷凍でき、冷凍の品質も良くなります。野菜が完全に凍ったら、フリーザーパックに入れて代えて保管します。
ニンジンのブランチング処理
1.ニンジンを洗い、皮をむきます。今回は包丁の裏で軽く汚れをそぎ落としました。
2.ニンジンを食べやすい大きさに切ります。野菜炒めなどに使いやすい、いちょう切りにしました。
3.沸騰したお湯にニンジンを入れ、さっとゆでます。加熱時間はカットした大きさによりますが、20秒から30秒くらいが目安になります。
4.ざるに揚げ、冷水で一気に冷やします。
5.水気をしっかりふき取ります。
水気が残ったまま冷凍すると霜が付いて野菜を傷めてしまうので、ペーパータオルなどでしっかりふき取りましょう。
6.1フリーザーパックに入れて冷凍します。出来るだけ空気を抜きましょう。保存中に酸化したり、変色したりするのを防げます。
【より高品質に冷凍したいとき】
6.2冷凍庫に余裕があれば金属トレーの上にのせて冷凍しましょう。金属の熱伝導率は空気の30倍以上なので、より早く冷凍でき、冷凍の品質も良くなります。野菜が完全に凍ったら、フリーザーパックに入れてかえて保管します。
ブランチング処理した野菜の冷凍保存期間
通常1か月くらいの保管であれば、おいしくいただけます。
保管中も少しずつ酸化してしまうため、それを防ぐために真空パックに詰め、業務用の-30°の冷凍庫で保管した場合は3か月程度持ちます。
また、急速冷凍機を使った場合は6か月程度持ちます。
ウニのブランチング処理
ウニを冷凍する時にも、ブランチング処理はよく使われます。ウニは冷凍するのが最も難しい食材と言われていて、冷凍すると身崩れを起こして液状になってしまいます。
しかし、熱湯にくぐらせたり蒸したりして表面を固めることで、ウニも冷凍が可能になります。
ウニ本来の旨味は若干失われてしまいますが、生ウニは消費期限が短いため保存できるブランチング済みの冷凍ウニもよく出回っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。野菜を冷凍すると水分が出てしなっとしてしまうものが多いのですが、ブランチング処理をすると大幅に水分の流出を防げます。
酵素の働きを抑えて変色を防いだり、殺菌効果があったりと、野菜を長期間冷凍保存する場合は必須のテクニックになります。
より良い状態で長く保管したい場合は、家庭でも実践できるのでぜひ試してみてください。