液体凍結機のメリット・デメリットや価格、お得な導入方法など解説!
近年注目を浴びている「液体凍結機」。
高品質に冷凍することで食材の品質を落とさず長期保存することができます。
そんな液体凍結機も様々なメーカーが商品や情報を出しており、最適な製品を選定するのは至難の技です。
そこでこのページでは液体凍結機のメリット・デメリットや選ぶ際の注意点、価格など液体凍結機に関する情報をまとめてご紹介します。
導入する際にコストを抑える補助金などの情報もお伝えしますので、是非、最後までご覧ください。
目次
液体凍結機(アルコール冷凍機)とは
液体凍結機は、-10℃〜-35℃に冷却した液体に食材を漬けることで凍結させるタイプの急速冷凍機のことを指します。
液体は空気に比べて熱伝導率(温度を伝える効率)が約20倍と極めて高いため、凍結スピードが非常に早く、細胞を壊さず冷凍が可能です。解凍時のドリップの量を極力抑えることで旨みや栄養の流出を防ぎ、食材の風味・味・色味を維持することができます。
液体は使用温度(-10℃〜-35℃)でも凍らない不凍液と呼ばれるものを使用します。入手のしやすさやコストの観点からアルコールを不凍液として使う液体凍結機が多く、そういった急速冷凍機は「アルコール冷凍機」、「アルコール凍結機」などとも呼ばれています。
現状、急速冷凍機はこの液体凍結タイプと空気を当てて冷凍する空気凍結タイプの2つが主流となっています。
液体凍結機のメリット
液体凍結機は他の冷凍機と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは液体凍結機の3つのメリットをご紹介します。
メリット①:品質が高い
液体凍結機の1つ目のメリットは品質の高さです。
液体凍結機は食材の細胞を壊さず冷凍するため、肉、魚、惣菜など様々な食材の品質を維持することができます。
・新たな冷凍食品の開発
・安くて質の高い旬の時期の食材を1年通して提供
・繁忙期に合わせて前もって冷凍しておくことで人手不足を解消
などの効果を出すことも可能です。
メリット②:凍結スピードが速い
液体凍結機の2つ目のメリットは凍結スピードの速さです。
空気に比べ、熱伝導率が20倍の液体凍結機は同条件で比べた場合、凍結速度が特に早くなります。
特に厚みのあるブロック肉など冷凍するのに時間のかかる食材は、凍結にかかる時間を短くすることで生産効率を上げることが可能です。
メリット③:小型タイプのラインナップも充実
液体凍結機3つ目のメリットは小型の装置ラインナップが充実していることです。
現在、最も主流の空気凍結タイプは大きなエンジンを積む必要があるため最小機種であっても程度の設置スペースが必要です。
それに対して、液体凍結タイプは液体が蓄冷するため、設置スペースを取らないサイズの小さいラインナップもあります。
サイズが小さくなればその分冷凍できる量が減るため注意は必要ですが、必要な量を冷凍できるのであれば小型の機種の導入も可能です。
また、家庭用の冷凍庫と同じ100V電源で稼働する機種もあります。
液体凍結機のデメリット
ここまで液体凍結機のメリットをご紹介しました。
しかし、液体凍結機を導入するにあたって気をつけなければいけないデメリットも存在します。
デメリット①:真空包装が必要
液体凍結機の1つ目のデメリットは真空包装が必要になることです。
液体凍結機の場合は食材をアルコールなどの不凍液(以後アルコール)に漬けるため、冷凍する前に食材を真空包装する必要があります。
脱気して空気を含んだ状態で包装して冷凍することもできますが、真空袋の中に残った空気が断熱材の代わりとなり、凍結速度が遅くなってしまいます。これが品質劣化を起こす原因となるため、空気を含んだ状態で凍結することはおすすめできません。
液体凍結機は基本的には真空包装が必須となるため、これからご紹介する3つのパターンの場合は液体凍結機には不向きです。
【真空包装で劣化してしまう場合】
真空包装した際に劣化してしまう食品は冷凍する時点で品質が落ちてしまうため、液体凍結機では品質の維持が難しくなります。
特にケーキ、ご飯物など真空包装した際に潰れてしまう食品などは品質の維持が極めて困難です。
【バラ凍結(IQF凍結)したい場合】
真空包装した状態を冷凍すると真空袋の中で食材同士がくっついた状態で冷凍されることになります。
そのため、食材がバラバラの状態で冷凍され使いたい分だけ解凍できるスライス肉やシーフードミックスのような商品を液体凍結機で製造することはできません。
【尖った商品を冷凍する場合】
エビやカニ、魚の骨、食材と一緒に冷凍する弁当箱の角など尖った商品は真空袋に穴が空いてしまうケースがあります。
真空袋に穴が空いた状態でアルコールの中に漬けるとアルコールが混入してしまい、商品として使えず、商品のロスとなってしまいます。
扱う食材がこれらの条件に当てはまる場合は液体凍結機での冷凍はおすすめできません。
その場合は最新の空気凍結タイプの急速冷凍機がおすすめです。乾燥を防ぎつつ凍結速度が非常に早いため、食材を裸で冷凍することができます。
デメリット②:クレームリスクが発生する
液体凍結機の2つ目のデメリットはクレームリスクが発生することです。
デメリット①でお伝えした通り、液体凍結機は真空袋に穴が空くことでアルコールの混入してしまう場合があります。
その際に、混入したアルコールが少量で目視しても気づかず、お客様に提供してしまったというケースが少なくありません。
液体凍結機に使われるアルコールは濃度調整されており、口に含むと強烈な苦味を感じるものが多いため、明らかに味がおかしいとクレームになってしまうのです。
食品メーカー・食品加工メーカーなどではこのようなクレームリスクの観点から液体凍結機を敬遠される傾向にあります。
デメリット③:作業量(工数)が多い
液体凍結機の3つ目のデメリットは凍結の作業(工数)が多いことです。
凍結した商品を液体凍結機から取り出すと真空袋にアルコールがついた状態になっています。
そのままだと保管庫の中がアルコールまみれになったり、包装・梱包した際にびしょ濡れになってしまうため、アルコールの液切り・拭き取り作業が必要となります。
冷凍状態の冷たいアルコールを1つ1つ拭き取る作業は大変で時間もかかるため要注意です。
デメリット④:ランニングコストが割高
液体凍結機の4つ目のデメリットはランニングコストが割高になることです。
通常かかる電気代はもちろんですが、液体凍結機の場合、それ以外の「アルコールの費用」、「人件費」は特に注意が必要となります。
【アルコールの費用】
アルコールは食材を冷凍した分減っていくため、その分補充が必要です。商品や運用にもよりますが10kg冷凍するのに対して約60〜70円のアルコールの費用が発生します。
【人件費】
デメリット②でも説明した通り、液体凍結機は商品を凍結した後にアルコールの液切り・拭き取りの作業が必要です。
この液体凍結機特有のコストを、導入するまで考慮されていないことが非常に多いですが、この作業による人件費がランニングコストで1番大きくなると言われています。
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1年間(20日稼働×12か月)毎日30kg冷凍した場合
商品30kgの液切・拭き取り作業:60分
商品のピンホールの有無を確認する:10分
1時間の人件費(アルバイトの時給:1,000円+アルバイト人員の採用・管理費30%)
30kgの液切り・拭き取り作業・・・1,300円
×20日
×12か月
→1年間で364,000円
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このように、ランニングコストは空気凍結タイプと比較して液体凍結タイプの方が高くなります。
ブロック肉など大きな塊の食材を冷凍する場合は液切り・拭き取り作業が少なくなるため、液体凍結機を導入する方もいらっしゃいます。
ですが、それ以外の液切り・拭き取り作業に時間がかかる商品などを冷凍する場合は液体凍結機よりも空気凍結タイプを導入する方が圧倒的に多いのが現状です。
最新の空気凍結機であるアートロックフリーザーは品質や能力が改善され、過去最高レベルの高品質の実現やコストを抑えたコストパフォーマンスの高い生産を実現しています。
ここまで解説した通り、液体凍結機はメリットがある反面デメリットも存在します。メリット、デメリットを考慮して急速冷凍機を選定しましょう。
液体凍結機の選定方法
ここまでご紹介してきた液体凍結機ですが様々なメーカー・機種・製品があり、どれがいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか?
ここからは液体凍結機を選ぶ際に重要な2つのポイントをご紹介します。
①凍結処理量(パワー・液体の量)
普段使う冷凍庫の場合、庫内容量(何リットルか)を基準に選びますが、急速冷凍機の場合はこの選び方で失敗している方が非常に多いです。
液体凍結機は冷凍するための設備です。そのため、どのくらいの量の食材を冷凍できるのかが重要です。冷凍したい量に対して冷凍能力の小さい冷凍機を選んでしまうと冷凍しきれなかったり、冷凍品質が著しく落ちてしまうようなことが起こります。
原因はアルコールの温度が上がってしまうことです。食材をアルコールに漬けると食材の温度をアルコールが奪うため、代わりにアルコールの温度が上昇します。アルコールの温度が上がれば上がるほど凍結スピードが遅くなり、食材を凍結できなくなってしまいます。
そのため、アルコールの温度を下げる能力に関わる冷凍機のパワーと、食材を漬けた際のアルコールの温度上昇しやすさに関わるアルコール量の2つを基準に液体凍結機を比較するのがおすすめです。
【冷凍機のパワー】
液体凍結機には冷凍機と呼ばれる機械のエンジンにあたる部分があり、そのエンジンのパワーを使って液体(アルコール)の温度を下げています。
パワーが強ければ強いほどアルコールを冷やす能力が高くなるため、アルコールにたくさん食品を入れて温度が上がってもすぐに冷やすことができ、より多くの食品を冷凍することができます。
【アルコールの量】
液体凍結機は冷凍機のエンジンが低温に冷やしたアルコールが食材の熱を奪うことで凍結します。
この時、熱を奪ったアルコール側は奪った熱量分、温度が上がります。
そのため、低温のアルコール量が多ければそれだけ食材から奪える熱量も多くなりますが、液体凍結機は機種によって入れられるアルコールの量が異なります。
アルコールの量が多ければ多いほど冷やすエネルギーを蓄えることができるため、食品を入れた際にアルコールの温度が上がりにくくなります。
例、2リットルの水に1リットルのお湯を入れるより、10リットルの水に1リットルのお湯を入れた方が温度が上がらない
そのため、不凍液であるアルコールがより多く入る液体凍結機の方が一度に多くの量を冷凍することができ、連続での稼働も長くなります。
②自動昇降タイプ・手動タイプ
液体凍結機には手動タイプと自動昇降タイプの2つがあります。
・手動タイプ
手動タイプは食品をかごに入れ、人の手で液体凍結機に出し入れするタイプです。
・自動昇降タイプ
自動昇降タイプは液体凍結機への食品の投入部分が機械式になっているタイプです。
小型のものであれば液体凍結機への商品
の出し入れの際に特に問題は起こりませんが、カゴに10~20kgの商品を入れて出し入れするとなると重量作業となり、女性や高齢の方では作業できなくなってしまいます。
そのため、一定以上の量を冷凍する場合は、安全面と作業性を考慮して自動昇降タイプの液体凍結機を導入するのがおすすめです。
おすすめはリジョイスフリーザー(メーカー:米田工機株式会社)
ここまで液体凍結機の選定のポイントをお伝えしてきました。
ではいざ液体凍結機を導入するとした場合、どのメーカーの製品が良いのでしょうか?
これから液体凍結機を導入する場合、おすすめはリジョイスフリーザー(メーカー:米田工機株式会社)です。
米田工機は液体凍結機はもちろんのこと、それ以外の生産設備も扱っており、設備を導入する会社に合わせ、特注で製品を作る高い技術力を持っている会社です。
液体凍結機に関しては、その他のメーカーに比べ、コストパフォーマンス(価格に対しての冷凍能力が高い)が高く、庫内に入る液体の量が多いため、連続での稼働や一度にたくさんの食材を冷凍することができます。
また、小型仕様(1〜3kg/h)以外の機種は全て自動昇降タイプとなっており、誰でも安全で作業しやすい仕様の液体凍結機です。
液体凍結機の価格
液体凍結機の価格は主にサイズや仕様などによって大きく変わり、場所や搬入・設置の条件によっても多少変わります。
凍結処理量(1時間当たりの凍結できる量)が大きければ大きいほど価格も高額になるため、性能と価格を考慮して適切なサイズの液体凍結機を導入するのがおすすめです。
現状、液体凍結機は最も小型の機種で100万円前後からとなっています。
液体凍結機は補助金での購入がおすすめ
ここまで説明させていただいた通り、液体凍結機は決して安い買い物ではありません。
そのため現金で購入される方もいらっしゃいますが、補助金や税制優遇を使ってお得に購入したり、リースを使って初期費用を抑えて購入される方も多くいらっしゃいます。
補助金を活用する際に、特におすすめなのが「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」です。補助される金額が100万円〜1億円と大きく、補助率も最大2/3補助と非常に高いのが特徴です。
その他にも県や市町村などの補助金を使って液体凍結機を導入する事例も多数あります。
詳しくはお問い合わせいただければ専門スタッフからご紹介させていただきます。
また、補助金を申請する際に必要な書類作成などを全て行うサービスもございます。申請したいが時間が無い方、面倒な作業を外注してしまいたいという方もぜひお問い合わせください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
液体凍結機は食材の品質を落とさず冷凍保存ができます。
ただし食材との相性などもあるため、実際に凍結テストを行い、設備を選定するのがおすすめです。
また補助金などを使ってお得に導入する方法もございます。
冷凍機の導入をご検討であればぜひ一度お問い合わせください。