
ブラストチラーは、加熱調理した食品を急速冷却する機械です。徹底した安全管理のもと、美味しい食品を提供するために、ブラストチラーが活用されています。
ブラストチラーで急速冷却することの重要性やメリットと共に、メーカーや価格に関してご紹介します。
ブラストチラーの機能

出典:http://mugenchubo.blog72.fc2.com/blog-entry-109.html
急速冷却することの重要性
ブラストチラーとは、作りたての温かい食品を急速に冷却させる機械です。
加熱調理した食品をすぐに提供できればいいのですが、提供するまでに時間がかかる場合、衛生上の観点から冷却する必要があります。
ブラストチラーは、90℃近くの食品を3℃まで一気に冷却するので、冷却過程における細菌の汚染を防ぐことができます。
また、風味を閉じ込め、再加熱した際に作りたての美味しさを再現することが可能。
ブラストチラーを使うことで、食品の安全性、美味しさを守ることができます。品質劣化を防ぐことができるので、冷却した食品を約5日間冷蔵保存できます。
また、冷却した食品を一気に凍らすショックフリーズ機能を搭載している機械も多くあり、冷却・冷凍を同時に行うことができます。冷凍すると、作りたての品質のまま約3ヶ月保存できます。
細菌の繁殖を防ぎ、安全に食品を提供
ブラストチラーを使うことで、一度に大量の食品を冷やすことができ、食中毒の原因となる細菌の繁殖を防ぐことができます。細菌が繁殖しやすい条件は、栄養と水分が豊富で、温かい温度であること。
調理した食品は細菌が繁殖しやすい環境なので、細菌が繁殖しにくい温度まで素早く下げる必要があります。
細菌が繁殖しやすい温度帯10℃~60℃を素早く通過させることで、食中毒を防ぐことができます。食品の安全性を守るためには、温度管理を徹底させることが重要。
加熱して細菌が死滅しても、冷却している間に空気中の細菌に汚染される危険性があるので、加熱と同じくらい冷却にも注意が必要です。
活用されている場所は?
徹底した安全管理のもと大量調理を行う、学校給食や施設、病院などで活用されています。
安全面だけでなく、粗熱を素早く取ることができるので、給食では調理に時間がかかるメニューや特別メニューなど、メニューの幅を広げることが可能。
まとめて調理して保存できるので、病院食では嚥下食やソフト食を作り置きして提供できます。
さらに、飲食店やお菓子屋などでも、ブラストチラーの導入が広がっています。
惣菜屋ではサラダや和えものなどの製造において、お菓子屋ではプリンやスポンジ生地などの冷却に使われています。
また、仕出し弁当や宅配弁当などでも、ブラストチラーは使用されています。
急速冷却することで、食品を美味しく安全に提供できるだけでなく、冷却時間の短縮や作り置きができるので、作業効率を上げることができます。
美味しく安全に提供するクックチルシステム

出典:http://fs-matto.com/safe/
クックチルシステムとは
クックチルシステムとは病院や施設などにおいて、大量調理・提供する際の保存方法です。徹底した衛生管理のもと、計画的に大量調理を行う必要があります。
【加熱調理した食品を配膳するまでの流れ】
1、加熱調理した食品を急速冷却する
※加熱した食品を30分以内に冷やし始め、その後90分以内に芯温を0~3℃まで冷却する必要があります。
2、冷やした食品をチルド保存する
3、提供時に再加熱して、盛り付ける
4、温かい食事を配膳する
クックチルシステムを導入することで、HACCPに対応した衛生管理ができます。
HACCPとは、食品を製造・加工する工程において、食中毒や異物混入などが起こらないよう、危険を予測し対策を立て、監視するシステム。
食品の安全性を守るための取り組みとして、HACCPに準拠する事業所が増えています。
また、調理工程をマニュアル化することができ、一定の品質の食品を提供できます。まとめて調理し計画的な生産ができるので、食材のロスを削減することが可能。
空いている時間を有効に使い、作業を平準化できるなどの、メリットが生まれます。
ニュークックチルシステムとは
さらに最近では、クックチルシステムを改善した、ニュークックチルシステムを導入する動きが広まっています。クックチルシステムとの違いは、再加熱してすぐに提供できることです。
【加熱調理した食品を配膳するまでの流れ】
1、加熱調理した食品を急速冷却する
2、チルド保存したものを盛り付け、再加熱カートへ入れる
3、カート内でチルド保存し、提供時にカート内で加熱する
4、温かい食事を配膳する
食事を提供する際に、加熱後2時間以内に喫食しなければならないという決まりがあるので、クックチルシステムでは、再加熱して盛り付け、配膳するまでの作業が大変でした。
ニュークックチルシステムでは、最終工程である盛り付けを事前にできるので、提供時に必要な人員を抑えることができます。
朝食の準備を前日の夜に行うことができるので、早朝の作業をなくし労働環境を改善することが可能。
また、配膳時間直前に再加熱するので、料理が冷めずにより美味しい状態で提供できます。
このように、大量調理において、より安全で効率的な作業を行うことができます。美味しい食事を安全に提供するために、急速冷却するブラストチラーは欠かせない機械です。
ブラストチラーの主なメーカー
どのようなブラストチラーがあるのか、3つのメーカーの機械をご紹介します。
フクシマ
ショックフリーズ機能搭載なので、冷却後そのまま冷凍することが可能。-2℃の冷気で約3℃まで冷却するブラストチル機能と、-40℃の冷気で約-20℃まで冷凍するショックフリーズ機能があります。
吸い込み循環方式で冷やすので、ムラを抑えて素早く冷却することが可能。操作しやすく、庫内が清掃しやすい構造になっているので、使い勝手が良い機械です。
エフ・エム・アイ(イリノックス)
8つの機能を搭載しているので、さまざまな使い方ができます。
・ブラストチル機能
・ショックフリーズ機能
・解凍機能
・35℃~85℃の温度帯で保温・保冷できる機能
・75℃で再加熱できる機能
・低温調理機能
・発酵機能
・低温殺菌機能
冷却・冷凍機能のほかにも、低温調理や発酵などの機能もあるので、調理の場面で役立ちます。パンやお菓子を製造する際にも便利です。
ホシザキ
ショックフリーズ機能を搭載しています。冷やしたい食品や用途によって、冷却機能を選ぶことができます。
・-1℃の冷気で優しく冷やす機能
プリンなどのお菓子などの冷却に最適です。
・-20℃の冷気で一気に冷やす機能
細菌が繁殖しやすい肉料理などの冷却に最適です。
・-40℃の冷気で一気に凍らす機能
素早く凍結させることで、品質劣化を防いで冷凍できます。
さらに、芯温制御、タイマー制御、庫内温度制御ができるので、温度管理に優れています。
ブラストチラーの価格と中古機械

出典:http://www.tenpos.co.jp/blog/006/2011/12/hbc-6ta3.html
ブラストチラーの価格
ブラストチラーは、特殊な厨房機器なので、普通の冷蔵庫などに比べると高額になります。小型の機械でも100万円以上することが多く、大型の機械になると500万円以上します。
また、大型の機械は室外機が別置きになるので、設置するために工事が必要。小型の機械は室外機が一体化されているので、電源があれば設置できます。
中古の価格
高価な機械なので、中古機械の購入を考える方も多くいます。中古機械は、新品に比べて1/3から1/2くらいの価格なので、安く購入することが可能。
中古の厨房機器を扱っているリサイクルショップや、インターネットでも多くの機械が取引されています。新品同様の機械から傷の多い機械まで、さまざまな中古機械が出回っています。
中古を購入する際の注意点
中古機械は安く購入できますが、メンテナンスに費用がかかることが多いです。
モーターの付いている厨房機器は、使用頻度が高いと摩耗するので故障しやすいです。故障した場合、個人での修理が難しいので業者に頼まなければなりません。
中古機械は保証期間が短いことが多いので、多額の修理費用がかかってしまうことがあります。
ですので、使用頻度や使用状況、保証期間がどのくらいついているか、オーバーホールや清掃が行われているかを、きちんと確認することが大切。
また、きれいな状態であっても、中古機械には使用感があります。特に、食品の冷却に用いられているので、臭いがついている場合があります。
清掃しても、なかなか臭いが取れないことが多いので、購入する際はきちんと機械を確認する必要があります。
まとめ
大量調理を行う施設や病院などでは、クックチルシステムやニュークックチルシステムを導入して食事を提供しています。
その際、美味しく安全に提供できるよう、ブラストチラーが活用されています。
また、安全性、品質、作業効率の向上などのメリットがあるので、飲食店などでも導入が広がっています。
さまざまな機械があるので、購入する際はどのような機械がいいのか、よく見比べて検討することをお勧めします。