
急速冷凍機は様々な種類があり、それぞれに特徴があります。
リキッドフリーザー(液体凍結機)の場合も、他の急速冷凍機とは異なる性能があります。
リキッドフリーザーはどのような特徴があり、どのような成果を上げることができるのでしょうか?
リキッドフリーザーの最大の特徴は、何といっても凍結スピードが速いということです。
群を抜くスピードの速さは、液体凍結によって可能となっています。
知っておきたい!リキッドフリーザーの基礎知識
凍結方法は至ってシンプル。食品を専用の袋に密閉させ、-35℃に冷却したアルコール液に漬けて凍結させます。液体凍結は、なぜ速いスピードで冷却することができるのでしょうか?
液体は空気に比べて熱伝導率が約20倍高いからです。
ごく身近でも、熱伝導率の高さは利用されています。ビール瓶やジュース缶を速く冷やしたい時、シンクや桶に冷水を張って冷やします。冷水の方が、冷蔵庫に入れるよりも速く冷やすことができます。
リキッドフリーザーは、驚くほどのスピードで凍結します。
どのくらい短時間で凍結できるかというと、厚さ2cmの牛肉と魚の凍結時間は約10分、豚・鶏肉は約8分。
また、厚さ5センチの牛肉は約35分、魚は約30分、豚・鶏肉は約25分で凍結することができます。
凍結スピードの速さは、冷凍によるダメージを最大限に抑え、解凍後の食品の品質を守ります。従来の凍結方法で冷凍させた肉や魚を解凍すると、見た目も味も劣化してしまいます。
食品を凍結させる際、食品内の水分が氷になることで体積が膨張し、細胞膜が壊れます。解凍すると壊れた細胞膜から栄養や旨みが、液体として流れ出します。これがドリップです。
リキッドフリーザーは、凍結の際に作られる氷の結晶が小さいので、細胞破壊を防ぐことができます。ドリップの量を極力抑え、旨みや栄養の流出を防ぎます。
また、アルコール液を常に攪拌させているので、槽内において一定の冷却をすることができます。液体が食品全体にまんべんなく当たるので、凍結ムラが起こりません。
特別な解凍方法が必要ないので、一般の冷凍品と同じように常温や低温、流水、湯せんで解凍することができます。
リキッドフリーザーに向いている食品とは?
食品は冷凍に向いているもの、向いていないものに分かれています。そもそも冷凍に向いている、向いていない食品の違いは何なのでしょうか?
一般的に冷凍しても大丈夫だと思われている食品は、冷凍耐性が強い食品です。冷凍耐性が強い食品は、含まれている水分が少なく組織がしっかりしています。
冷凍耐性が強い食品として、蓄肉類、魚介類が挙げられます。
ただ魚介類は魚種によって異なり、マグロやカツオなど筋肉量の多い赤身の魚や、筋肉の繊維が太くて緻密なタコ・イカは冷凍耐性が強いです。
逆にタラなどの白身の魚や、エビ・カニ類は冷凍耐性が弱いので冷凍に向いていません。
野菜・果物は水分量が8~9割と多く、組織も脆弱。冷凍耐性が低いので、冷凍には不向きです。
しかし、豆類やカボチャ、ほうれん草などの葉物に関しては熱湯にくぐらせて、すぐに冷やすことで耐性を高め、冷凍することができるようになります。
このように、食品内の水分量や組織の強さによって、冷凍に対して向き不向きがあります。
しかし、急速冷凍機の登場により、今までできなかった食品の冷凍が可能になりました。
リキッドフリーザーは、レバーなど品質劣化の激しい内臓肉においても、品質を保持したまま冷凍することができます。また、加工品においても成果が上がっています。
例えば、胡麻豆腐の冷凍が可能です。胡麻豆腐は原料に葛粉が入っているので、冷凍すると味が落ち水分が抜けてしまい、冷凍できないと言われていました。その他にも野菜や魚介類、調理品など、幅広い食品の冷凍が可能です。
リキッドフリーザーの作業工程上、向いている食品があります。
空気冷却の急速冷凍機の場合は、凍結させてから密閉させ保管庫に移しますが、リキッドフリーザーは密閉させてから凍結させます。なので、スープなどの液体やとろみのある惣菜の凍結に適しています。
また、冷凍スピードが速いという理由で、向いている食品もあります。
傷みやすい牡蠣やホタテは、凍結している段階においても、どんどん鮮度が落ちていきます。獲ってから、いかに速く凍結できるかが鮮度保持において重要となります。
またブロック肉や大きな魚介などは、肉が厚いので凍結時間が長くなります。凍結に時間がかかりすぎると品質劣化につながる恐れがあります。
なので、傷みやすい食品、厚みのある食品は、リキッドフリーザーが向いていると言えます。
リキッドフリーザーの価格と成果
リキッドフリーザーは槽内の液体を冷やす方式なので、冷却機が小さく設計されています。機械自体が小型なので、機械本体の価格も他の急速冷凍機と比べると低く設定されているケースが多いです。
メーカーによって値段に幅がありますが、最小の小型機で200万円以下のラインナップがあることが一般的で、原理的にメーカーによる性能の差異はほぼありません。
しかしながら、メーカー毎に数百万円の差があることもありますので、必ず値段を比較することをお薦めします。
弊社では複数のリキッドフリーザーメーカーの性能や価格をお答えできますのでお気軽にお問い合わせください。
とは言っても、従来の冷凍庫に比べると、やはり高価な機械です。
しかし、今抱えている問題を解決することができ、今以上の成果を上げることができるならば、どうでしょうか?
リキッドフリーザーを活用することで、機械の価格以上の利益を生み出すことができます。
限られた時期にしか出回ることがない食品を、通年で供給することができます。
例えば、春の風物詩である筍。筍は、特定の時期にしか収穫することができないので、食べることができる期間が限られています。しかし冷凍して保存することで、変わらない味と風味を一年中提供することができます。
一番美味しい時期の食品を、時期をずらして提供することができます。
例えば、冷凍が難しいとされているノドグロ。脂の乗った美味しい時期に収穫して、一番需要が高まる時期に高品質なノドグロを提供することができます。他の魚介類においても、生と同じ鮮度を保持することができるので、新たな市場を開拓することができます。
季節によって需要が高まる食品を、計画的に生産することができます。
例えば、ハムやソーセージなどの加工品。通常の生産ラインを維持しつつ、お中元やお歳暮など需要が高まる時期に備えることができます。
計画的な生産調整ができるので、作業を平準化することができます。繁忙期の人員増強をなくして人件費の削減をすることができるだけでなく、労働環境の改善にもつながります。
まとめ
凍結スピードが速いというリキッドフリーザーの特徴を活かして、様々な可能性を広げてみませんか。
販売チャンスがあるのに生産が間に合っていない、新規事業を始めるために今の業務を短縮させたい、そのような悩みを解決できる有効な手段となるでしょう。