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【様々な分野で活用】液体窒素の購入時に注意すべきポイント

液化窒素の購入を考えている人がいたら、注意が必要です。

液化窒素の取り扱いは難しく、肌や粘膜に触れると凍傷の危険性があり、酸欠事故や爆発事故を引き起こす危険性があります。
また、液化窒素自体は安価ですが専用の容器が高額なので、一般での購入は困難です。

しかし、液化窒素は高い冷却作用があり産業面での有用性は高く、食品の冷凍など様々な分野で活用されています。

販売業者と購入方法

液化窒素とはどのような物質なのでしょうか。

液化窒素は、極めて低い温度まで冷やし液体化させた窒素のことです。液体窒素とも呼ばれていて、どちらも同じ物質を指しています。

液化窒素は気体が液体に変わる温度の差を利用して、空気中から他の成分を取り除くことで生産することができます。空気は窒素が8割を占め、その他に酸素や二酸化炭素で成り立っています。酸素や二酸化炭素は液体に変わる温度が窒素より高いので、空気を冷却する過程で分離させることができます。

液化窒素は-196℃という低温なので、主に冷却目的に使われています。他の液体ガスよりも安価なので、金属の熱処理、食品や細胞の冷凍保存や凍結治療の際に使用されています。

液化窒素を販売している業者は限られていて、高圧ガスを取り扱っているガス業者、ガスの供給を行っているガスの専門商社、ガスの製造販売を行っているメーカーなどで購入することができます。大学などの研究機関でも、実験用に液化窒素を製造、供給しています。

液体窒素
出典:http://san-web.co-sansyo.co.jp/SanOutWeb/detail/n_detail_41-0652.html

液化窒素は特殊なガスなので、超低温液化ガス専用の容器に入れて供給されていて、1リットル当たり300円~500円ほどで購入することができます。液化窒素自体は安価なのですが、液化窒素を入れる液化窒素貯蔵容器が高額。5リットルの容器でも10万円近くし、30リットルの容器は20万円以上します。

専用の容器でないと危険なので、液化窒素貯蔵容器を購入する必要があります。実験用などで液化窒素を購入したいと思っていても、費用がかかるため一般での購入はしづらいと言えます。

取り扱いの危険性

窒素自体は空気中の大部分を占める気体であり、人体に害はありません。しかし、液化窒素は取り扱いを間違えると、怪我や事故を引き起こしてしまう危険性があります。

液体窒素の危険性

凍傷の危険性

液化窒素は-196℃という低温なので、直接触れると凍傷を引き起こします。取り扱い時や汲み出し時は、防護眼鏡や皮の手袋を使用して、液化窒素が皮膚や粘膜に触れないようにします。

飛び散ると危険なのでゆっくりと作業を行う必要があります。運搬時は台車を使い容器が倒れないようにしっかりと固定させ、なるべく振動を与えないよう慎重に運ばないと危険です。

窒息の危険性

窒素ガスが蒸発すると酸素濃度を低下させるので、酸欠のおそれがあります。実際に、液化窒素を用いた実験を行っている最中に、酸欠による死亡事故が起きています。

空気は大部分が窒素で成り立っているので、液化窒素が気化して大量の窒素ガスが発生してしまうと、酸素を含んでいた空気が窒素に置き換わってしまいます。

その結果、密室状態の部屋で作業を行っていると酸欠を引き起こします。液化窒素を扱う際は換気扇を使用し、扉や窓を開けて十分に換気しなければなりません。

火災や爆発の危険性

取り扱いの際、長時間にわたって液化窒素容器の口を開けて放置しておくと、空気中の酸素が凝縮されて引火の原因となります。

また、液化窒素が気化するときに体積が数百倍になるので、密閉容器に入れると、爆発のおそれがあります。

専用の液化窒素貯蔵容器での保管においても、容器の安全弁の元弁を閉止すると危険なので、常に解放しておく必要があります。

様々な産業に!液化窒素の応用分野

取り扱いを間違えれば危険な液化窒素ですが、様々な分野で活用されています。

液化窒素は産業ガスの中で最も多く使われているガスで、土木建築分野、金属加工分野や電子機器分野、生物・医療分野、食品加工分野などで使われています。

土木建築分野

土壌を凍結させ、一時的に地盤を強化し安全に工事を行うために用いられています。また、水道管の工事の際に管内を凍結することで止水し、作業区域に水が入らないようにしています。

金属加工分野

金属化合物の熱処理に用いられています。銅などの金属は、熱加工した後に放置していると変形してしまいます。急激に冷却することで強度が増し、金属組織を安定させることができます。

電子機器分野

半導体の製造の際に用いられています。電流の漏れ防止のためや、極低温での作動が求められる半導体機器の冷却のために使われています。

生物・医学分野

生殖細胞や血液の冷凍保存、凍結療法に用いられています。凍結療法とは、イボなどの皮膚医療において、液化窒素を使い病原菌を除去する療法です。

どのような療法かというと、病原菌に冒されている患部を急激に冷やすことで、皮膚の組織を壊死させます。壊死した皮膚の組織の下に、新しい皮膚組織が形成されます。

何度も凍結を繰り返すことで、表皮の一番奥にある組織にいる菌を表面の方に押し上げ、菌を根こそぎ死滅させることができます。

食品分野

食品分野の液体窒素

食品の冷凍の際に用いられています。液化窒素を使うことで急激に温度を下げることができるので、食品の細胞破壊を防ぎ、品質劣化を防いで冷凍することができます。

食品分野で注目、液化窒素を用いた凍結機

液化窒素は様々な分野で活用されていますが、特に注目したいのが食品分野における液化窒素を用いた急速凍結機です。

-196℃の液化窒素ガスを食品に直接吹き付けることで、瞬時に食品を凍結することができます。

急速凍結とは、急速に食品を凍結することで冷凍によるダメージを抑える凍結方法です。通常の冷凍だと、凍結時に食品の細胞が破壊されて旨味成分とともにドリップが流出してしまいます。

急速凍結することで、細胞を破壊せずにドリップ流出を防ぎ食品の品質を守ることができます。

パンや麺類などのでんぷん質の食品やお菓子、ハンバーグやコロッケなどの調理品、カニや魚介類などの生鮮品など、幅広い食品を冷凍することができます。

液化窒素を用いた凍結機は、一般的な冷凍庫に必要な冷凍機と熱交換装置が不要なので、故障が少なく機械のメンテナンスが容易。凍結スピードが速いので、大量の食品を生産する加工場などで有効です。

しかし、液化窒素は取り扱いが難しく相応の設備が必要なので、個人経営の飲食店や食品メーカー、小規模な食品加工場などでは導入しづらいという難点があります。

液化窒素を用いない、どんな事業所でも導入しやすい凍結機も開発されています。急速凍結機にも様々な機械があるので、凍結機の種類とお勧めの機械をご紹介したいと思います。

エアーブラスト凍結機

一般的な冷凍庫と同じように、冷風を用いた凍結機です。-30℃近くの強い冷風を吹き付けて一気に凍結させます。

お勧めのアートロックフリーザーは、マイクロウインドシステムを搭載しており、食材の劣化(乾燥・身割れなど)を限りなく抑えることができます。
また、冷却・冷凍どちらにも対応しているので温かい食品でも予冷なしに冷やすことができます。

液体凍結機

液体を用いた凍結機です。液体は気体に比べて熱伝導率が20倍高いので、驚くほど早く凍結することができます。

お勧めのリ・ジョイスフリーザーは、-35℃に冷やしたアルコール液に真空パックした食品を漬けて凍結させます。
液が常に攪拌しているので冷凍ムラが起きず、凍結速度が速いので厚みのある食品や傷みやすい食品の冷凍に向いています。

まとめ

液化窒素は取り扱いが難しく、怪我や事故を招いてしまう危険性があるので、一般での購入や使用は難しいです。

そのため、食品業界では液化窒素を用いていない急速凍結機を導入するケースが多く、そのような機械を検討することをお勧めします。

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この記事の監修者

木下 昌之

デイブレイク代表
木下 昌之

70年続く老舗冷凍機屋の3代目。2013年、特殊冷凍テクノロジー×ITを軸に国内唯一の特殊冷凍機の専門会社としてデイブレイクを創業。各種メディアや書籍「フードテック革命」にてフードテック企業の代表格として紹介されるなど、「急速冷凍」をコアに食品流通業界の根本改革に邁進中。

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