セントラルキッチンとは?調理・配送方法別のメリット、デメリット、導入手順を徹底解説

こんにちは。急速冷凍機の厳選比較サイト「春夏秋凍」のライターチームです。
飲食店の生産効率や人件費などのコスト削減として注目を浴びている「セントラルキッチン」。1970年代から幅広く導入され、現在では多くの企業が導入している手法です。大手飲食チェーンだけではなく、中小の企業・飲食店でもセントラルキッチンを導入しており、企業にとって費用や時間の大幅な効率性が生まれます。
調理方法もチルドや冷蔵、冷凍など様々な方法で作ることが可能です。特に冷凍調理は品質維持力が高いため、冷凍での調理がよく利用されています。飲食店の多くも冷凍調理された食事がストックとして保存されている場合が多いですよね。
まだセントラルキッチンが未導入でこれから検討を考えている飲食店・企業の方は、セントラルキッチンを導入することで生産性の向上や無駄なコストの削減などビジネスの拡大にとってプラスになる可能性があります。
今回は「セントラルキッチンの仕組みやメリット、調理方法(チルド・冷蔵・冷凍・真空)」について解説します。
目次
セントラルキッチンとは何か?

「セントラルキッチン」って一体どんなものなの?と、セントラルキッチン自体がよくわからない方もいるかと思いますので、まずはセントラルキッチンについて簡単に説明したいと思います。セントラルキッチンとは、複数の店舗や施設、飲食店で提供する食事を調理するために設置された「大規模な調理場」のことを指します。
複数の店舗で店舗別に調理器具や食材などを用意して調理を行うよりも、セントラルキッチンで一括して調理を行い、各店舗に配送することで食材や調理器具、人件費などのコストを削減することができ、生産性の効率向上と拡大が見込めます。
「セントラルキッチン」はチェーン展開をしている飲食店や病院・学校給食など、複数の場所に食事を用意する必要がある企業や施設にとってより効率性の高い手法と言えます。
セントラルキッチンと通常のキッチン調理の違いについて
まだセントラルキッチンを導入していない飲食店の方や、これからセントラルキッチンの導入を検討している企業や施設の方にとって、「セントラルキッチンと通常のキッチン料理の違い」はどの部分にあるのか、知りたいところですよね。
セントラルキッチンと通常のキッチン料理の違いを理解することで、導入をするべきかどうかを明確化させることができます。それぞれの違いは以下の点が挙げられます。
規模の違い
セントラルキッチンと通常のキッチン料理の大きな違い、まずは「規模の違い」という点です。通常のキッチンは、1つの店舗で使用される程度の小規模なものですが、セントラルキッチンは、多数の店舗や施設に提供するために、大量の食事を調理する大規模なキッチンです。
セントラルキッチンはより大規模の料理を用意する際に効率性が上がる手法ですので、1店舗のみの飲食店などではメリットがありません。
目的の違い
セントラルキッチンと通常のキッチン料理の大きな違い、続いては「目的の違い」です。通常のキッチンは、店舗での食事提供を目的としていますが、セントラルキッチンは、複数の店舗や施設で提供するために、一貫した品質と味を維持しながら、大量の食事を調理することが目的です。
また、セントラルキッチンでは、調理プロセスや衛生管理などの面で、より厳格な規制が求められます。一方、通常のキッチンでは、より柔軟な運用が可能で、個人の好みに合わせたカスタマイズや、調理や清掃などの作業の分担ができるメリットがあります。そのため、調理の目的という点でも通常と違いがあります。
セントラルキッチンの仕組みについて
では、セントラルキッチンの作業は具体的にどのような工程で行われるのでしょうか。セントラルキッチンの仕組みについて詳しく解説します。セントラルキッチンの作業工程は下記のような流れで行われます。
- 食材の調達
- 食材の仕込み
- 調理(チルド・冷蔵・冷凍・真空)
- 検品・品質管理
- 包装・配送
食材の調達

まずは食事を製造する上で食材の調達を行います。セントラルキッチンでは、多数の飲食店・病院や施設に提供するために大量の食材が必要です。そのため、食事に必要な食材を大量に調達する必要があります。その際には食材の新鮮さや品質の維持にも注意が必要です。生産者や卸業者との契約に基づいた調達や、生産者との直接取引による食材の安定供給などが行われます。
食材の仕込み
続いては食材の仕込みです。食材を調理する前に、洗浄、切断、下処理、調味料の配合などが必要です。食材の種類や量に応じて、適切な工程が決められます。
調理(チルド・冷蔵・冷凍・真空)
続いては調理です。調理の工程は、飲食店や病院・学校など施設の目的やメニューによって異なります。大量の食事を効率的に調理するためには、調理器具や調理方法、調理時間などの最適化が必要です。また、栄養バランスや味の統一性にも配慮します。
検品・品質管理
続いては検品・品質管理です。調理が終わると、食事の検品・品質管理が必要です。衛生面の確認や、味や見た目、栄養バランスなどの品質チェックを行い、問題がないかどうかを徹底的に管理します。
包装・配送
続いては包装・配送です。調理が終わった食事は、包装やラベル貼りを行い、店舗や施設に配送されます。食事の運搬中に温度管理をしっかりと行い、鮮度や品質を保つことが大切です。以上のような工程を、スタッフの役割分担や設備の最適化などとともに実施し、効率的かつ安全な運営を行います。
セントラルキッチンは、大量生産を行う上で必要な各工程を抜かりなく管理することで品質をしっかりと維持しながらたくさんの食事を一気に生産することができる仕組みが確立されます。
※関連記事:セントラルキッチンの仕組みを解説!手順や導入のメリット・デメリットから検討しよう
セントラルキッチンの調理・配送方法(チルド・冷蔵・冷凍・真空)

現在、セントラルキッチンでの調理・配送はさまざまな方法で行われています。セントラルキッチンでの調理は「チルド・冷蔵・冷凍」の3つの方法が一般的です。業種によってチルド・冷蔵・冷凍ではなく、常温管理での配送も一部あります。
例えば、学校給食や弁当、仕出し料理など、当日の消費が前提である食事を提供する業種などは常温管理での配送です。基本的にはチルド・冷蔵・冷凍となります。3つの調理・配送方法と、真空での調理・配送方法について詳しく説明していきたいと思います。
セントラルキッチン「チルドでの調理・配送方法」

まずは「チルドでの調理・配送」についてです。チルドは、セントラルキッチンで調理された食品を急速に冷却して、冷蔵状態で保管し、チルド車で配送する方法のことを指します。チルド食品は温度管理に細心の注意が払われ、チルド車内の温度は常に一定に保たれています。
また、食品の品質管理も徹底されており、食品の賞味期限や品質の変化を定期的にチェックし、品質が保たれるように努めています。
チルドによる温度管理は、0~3℃の温度帯で急速冷却し保存・配送します。セントラルキッチンのチルド配送は、食品の品質管理や配送効率を向上させるために採用されており、多くの施設や企業などで利用されています。安全で新鮮な食品を提供することができるため、利用者からの信頼も厚く、今後もますます普及が進むと予想されています。
※関連記事:【鮮度長持ち!】チルド保存、チルド輸送の長所短所を解説します
チルドのメリット
チルド調理・配送は、下記のようなメリットがあります。
- 衛生管理が良い状態で1~5日ほど保存することができる
- 解凍する必要がなく、冷凍焼けなどの心配が少ない
- 盛り付けまでセントラルキッチンで完結できることもあり、料理の配膳までがより効率化できる
チルドのデメリット
チルド調理・配送には、下記のようなデメリットがあります。
- 調理・保存・配送・提供の各工程で、厳しい衛生管理とそれに対応する設備が必要である
セントラルキッチン「冷蔵での調理・配送方法」

続いては、「冷蔵での調理・配送」についてです。冷蔵では、大量の食品を調理した後、急速に冷却して冷蔵庫に保管します。冷蔵庫内の温度は常に一定に保たれ、食品の品質を維持するために厳密な温度管理が行われます。また、食品の保管期間や品質の変化を定期的にチェックし、品質管理も徹底されています。
冷蔵による温度管理は、10℃以下の温度帯で急速冷却し保存・配送します。冷蔵による調理・配送は、キッチンカーや飲食店などでよく活用される方法となっています。
冷蔵のメリット
冷蔵調理・配送には、下記のようなメリットがあります。
- 解凍などの作業は不要である
- 盛り付けまでセントラルキッチンで完結できることもあり、料理の配膳までがより効率化できる
冷蔵のデメリット
冷蔵調理・配送のデメリットは、下記のようなデメリットがあります。
- 食品ロスが発生しやすい
- 賞味期限が短い
- 生産ロットが少ないため配送の頻度が多くなる
セントラルキッチン「冷凍での調理・配送方法」

続いては、「冷凍での調理・配送」についてです。冷凍は調理された食品を急速に冷凍することで保存期間を延ばし、食品を効率的に管理することができます。冷凍することで、食品の栄養価や味、食感を保持することができます。
セントラルキッチンでの食品の冷凍方法には、急速冷凍法やタンク式冷凍法、パック式冷凍法などの種類があります。大量の食品を一気に冷凍する際は急速冷凍・タンク式冷凍などがよく用いられ、小分けで必要な量だけ冷凍する場合にはパック式冷凍がよく用いられます。
冷凍のメリット
冷凍調理・配送のメリットは、下記のようなメリットがあります。
- 急速冷凍することで長期間の保存ができる
- 冷凍することで衛生・品質管理が他の調理方法よりも簡単
- 在庫管理がしやすい
- 冷凍することで遠方への配送も可能
冷凍のデメリット
冷凍調理・配送には、下記のようなデメリットがあります。
- 冷凍・解凍する作業が増えてしまう
- 冷凍調理ができない食材、冷凍に向いていない難しい食品などがある
以上のようにセントラルキッチンの調理・配送方法にはさまざまな方法があり、それぞれメリットやデメリットが異なるため、取り扱う食事や場所、衛生品質管理の厳格性などによって調理方法を考える必要があります。
※関連記事:セントラルキッチンでの急速冷凍の活用方法とは?品質が落ちない【メリット・デメリット】
セントラルキッチン「真空での調理・配送方法」
「真空での調理・配送方法」は、下処理をした食材と調味料を合わせて真空パックにしたまま、95℃以下の低温で加熱、冷却(あるいは、急速冷凍)する調理方法です。
真空のメリット
真空での調理・配送のメリットとして、以下が挙げられます。
- 素材の風味や栄養が損なわれない
- 柔らかい食感を残したい食材や煮崩れしやすい食材に適している
- 食材を柔らかく仕上げられる
※関連記事:【保存期間が格段に延びる!】真空冷凍するべき理由とは
真空のデメリット
真空での調理・配送のデメリットとして、以下が挙げられます。
- 真空パックが必要なため、袋ゴミの処理費用がかかる
- 真空包装するための機械を導入する費用がかかる
セントラルキッチンのメリット

さてここからはセントラルキッチンのメリットについて説明します。
セントラルキッチンを導入する際には、下記のようなメリットがあります。
- コストが削減できる
- 安全性の管理が高まる
- メニューが多様化できる
- 食事の品質に偏りがなくなる
- 環境負荷が軽減される
セントラルキッチンはコストが削減できる
セントラルキッチンのメリット、まずは「コストが削減できる」という点です。セントラルキッチンは大量の食品を一度に調理するため、人件費や食材のコストダウンが期待できます。また、食品を集中的に管理することで、在庫の把握がしやすくなり、廃棄物の削減にもつながります。
セントラルキッチンは安全性の管理が高まる
セントラルキッチンのメリット、続いては「安全性の管理が高まる」という点です。食品の品質管理や衛生管理を一元的に行うことができるためミスが少なく、スタッフの教育やトレーニングの効率化も図れます。
メニューが多様化できる
セントラルキッチンのメリット、続いては「メニューが多様化できる」という点です。セントラルキッチンでは、調理するスタッフが専門的であるため、多様なメニューを提供することができます。
食事の品質に偏りがなくなる
セントラルキッチンのメリット、続いては「食事の品質に偏りがなくなる」という点です。セントラルキッチンでは、専門のスタッフが調理するため、一定の品質を保つことができます。また調理するスタッフによって味や質の違いが出ないこともメリットです。
環境負荷が軽減される
セントラルキッチンのメリット、続いては「環境負荷が軽減される」という点です。セントラルキッチンでは、食材・食品を効率的に管理することで、廃棄物の削減やエネルギーの節約につながり、環境負荷を低減することができます。
冷凍など調理方法によっては長期間保存ができる
セントラルキッチンは、冷凍など調理方法によっては長期間保存ができます。冷凍での配送であれば食品の劣化も避けることができ、食品ロスも起こりにくいというメリットがコストダウンにもつながります。
業務効率化が実現する
セントラルキッチンを導入することで、調理工程の標準化が可能になるため、業務効率が向上します。各拠点で行っていた作業も一か所でまとめて行えるようになり、大量の料理を効率よく調理できるでしょう。店舗での調理時間を短縮でき、スタッフの負担軽減にもつながります。
事業拡大できる
新店舗をオープンする場合、人員や設備を新しく用意する資金が必要です。セントラルキッチンを導入すれば、新店舗に複雑な厨房設備を導入する必要がなく、コストを削減できます。また、店舗に本格的な厨房設備を設ける必要がなく、広いスペースを必要としないため建設用地を探す際の幅が広がり、事業を拡大しやすくなるでしょう。
※関連記事:セントラルキッチンを店舗運営に活かすメリットとは?仕組みや導入方法も解説
セントラルキッチンのデメリット

続いては、セントラルキッチンのデメリットについてです。セントラルキッチンのデメリットは下記のような点が挙げられます。
- 運搬に時間がかかる
- 人材の確保が必要
- 調理器具や設備、システムなどの導入コストがかかる
- 食品ロスが発生しやすい
- トラブルが広範囲に及びやすい
- 柔軟な対応が難しい
運搬に時間がかかる
セントラルキッチンは、1つの調理場所で集中して調理するため、各場所に食品を運搬する時間がかかります。また、運搬中に食品が劣化する可能性もあります。
人材の確保が必要
セントラルキッチンは、大量に料理を作らなければならないため人材の確保が必要になってきます。また大量の食材を使った調理経験がある専門的な人材が必要となってくるため、人材が不足している場合は確保しなければならないという課題点も出てきます。
調理器具や設備、システムなどの導入コストがかかる
セントラルキッチンは、導入するために調理器具や設備、システムなどのコストが必要になります。導入したくてもコストがかけられないという場合は、セントラルキッチンを運用していくことが難しいです。
※関連記事:セントラルキッチンの費用相場と導入を成功させるコツを解説
食品ロスが発生しやすい
セントラルキッチンは一度に大量の食品を調理して保存・配送することができますが、一方で食品ロスが発生しやすいというデメリットがあります。コスト削減ができても食品ロスに気をつけなければ、逆に費用がかさんでしまうことになるため、注意が必要です。以上のようにデメリットとなる点も多少あるため、これらを把握した上で検討するようにしましょう。
※関連記事:【食品ロスの現状と対策】削減への取り組みと急速冷凍とは!?
トラブルが広範囲に及びやすい
機械の不具合や衛生面でのトラブルなどが発生した場合、すべての店舗や施設で料理の提供ができなくなったり、食材の回収が必要になったりすることが考えられます。特に衛生面の問題が発生した場合、その影響は広範囲に及ぶ懸念があります。
柔軟な対応が難しい
各店舗で調理を行う場合、それぞれの店舗の方針や利用者の要望に合わせて、メニュー開発やラインナップの変更などが可能です。一方、セントラルキッチンでは、メニューが統一化されるため、店舗ごとのニーズに対応しにくいデメリットがあります。また、調理場と飲食スペースが離れているため、ユーザーの声が届きにくく、何らかの意見や要望があってもすぐに反映することが困難です。
セントラルキッチンの導入手順
セントラルキッチンを導入する際は、以下の手順で行いましょう。
- 目的を明確にする
- 必要な設備の洗い出しを行う
- スタッフの研修を行う
- 管理システムを選定し、テスト運用する
目的を明確にする
セントラルキッチンを導入する際は、その目的を明確にし、細かく計画を練ることが重要です。まず、なぜセントラルキッチンを導入するのか、その目的と具体的な目標を設定します。導入計画では、予算やスケジュール、調理工程のどこまでをセントラルキッチンが担うかを検討します。
必要な設備の洗い出しを行う
続いて、調理機器、冷蔵・冷凍設備、物流機器など、必要な設備の選定を行います。あわせて、急速冷凍機の導入を検討しましょう。急速冷凍機を導入することで、食品ロスの増加・鮮度の低下・余剰コストがかかるといったセントラルキッチンのデメリットが解決できます。
また、各店舗への配送に対応するために必要な敷地も合わせて検討します。土地や物件のほか、工事会社も選定し、設計を進めます。
スタッフの研修を行う
調理スタッフ、品質管理者、物流担当者など、必要なスタッフを採用し、研修を行います。セントラルキッチンでは、業務内容を標準化し、作業のばらつきをなくすことが業務効率化につながります。マニュアルを作成し、スムーズな研修に努めましょう。
管理システムを選定し、テスト運用する
在庫管理、品質管理、物流管理などをスムーズに行うために管理システムを選定したら、テスト運用を行い、問題点や改善点を洗い出します。トラブルなく運営を円滑に進めるためには、管理システムの選定が重要です。
まとめ
今回はセントラルキッチンについて仕組みや調理・配送方法、メリット、デメリットなどを解説しました。セントラルキッチンは仕組みを理解してうまく活用することで、業務の効率化や生産性の向上、コスト削減などメリットになる点がたくさんあります。チルド・冷蔵・冷凍・真空など、さまざまな調理・配送方法があるため、状況に合った選択をすることで効率化を図れます。
デイブレイク株式会社は急速冷凍機のシェアNo.1を誇り、機器販売だけでなく導入後のサポートを含めた提案を行っています。セントラルキッチンの導入を考えている飲食チェーンなど企業の方や、病院・学校など施設のご担当者の方は、ぜひこの機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。