【クックチルシステムに必須】ブラストチラーの価格はいくら?
大量調理を行う施設や病院などでは、クックチルシステムやニュークックチルシステムを導入しています。その際、不可欠となるのがブラストチラー。
ブラストチラーは、加熱調理した食品を急速冷却する機械です。徹底した安全管理のもと、美味しい食品を提供するために、ブラストチラーが活用されています。
ブラストチラーで急速冷却することの重要性やメリットと共に、メーカーや価格に関してご紹介します。
目次
ブラストチラーの機能
急速冷却することの重要性
ブラストチラーとは、作りたての温かい食品を急速に冷却させる機械です。
加熱調理した食品をすぐに提供できればいいのですが、提供するまでに時間がかかる場合、衛生上の観点から冷却しておく必要があります。
ブラストチラーは、90℃近くの食品を3℃まで一気に冷却するので、冷却過程における細菌の汚染を防ぐことができます。
また、風味を閉じ込め、再加熱した際に作りたての美味しさを再現することが可能です。
ブラストチラーを使うことで、食品の安全性、美味しさを守ることができます。品質劣化を防ぐことができるので、冷却した食品は約5日間冷蔵保存できます。
また、冷却した食品を一気に凍らすショックフリーズ機能を搭載している機械も多く、その場合冷却・冷凍を同時に行うことができます。食品にもよりますが、冷凍することで作りたての品質を約3ヶ月維持できます。
細菌の繁殖を防ぎ、安全に食品を提供
ブラストチラーを使うことで、一度に大量の食品を冷やすことができ、食中毒の原因となる細菌の繁殖を防ぐことができます。
細菌が繁殖しやすい条件は、栄養と水分が豊富で、温かい温度であること。
調理した食品は細菌が繁殖しやすい環境なので、細菌が繁殖しないように素早く温度を下げる必要があります。
細菌が繁殖しやすい温度帯10~60℃を素早く通過させることで、食中毒を防ぐことができます。食品の安全性を守るためには、温度管理を徹底させることが重要です。
また、加熱して細菌が死滅しても、冷却している間に空気中の細菌に汚染される危険性があるので、加熱と同じくらい冷却にも注意が必要です。
ブラストチラーが活用されている場所は?
ブラストチラーは、徹底した安全管理のもと大量調理を行う、学校給食や施設、病院などで活用されています。
安全面だけでなく、粗熱を素早く取ることができるので、調理に時間がかかる特別メニューなど、給食献立の幅を広げることが可能です。
まとめて調理して保存できるので、病院の嚥下食やソフト食を作り置きして提供することもできます。
さらに、飲食店やお菓子屋などでも、ブラストチラーの導入が広がっています。
惣菜店ではサラダや和えものなどの製造に、洋菓子店ではプリンやスポンジ生地などの冷却に使われています。
また、仕出し弁当や宅配弁当などでも、ブラストチラーは使用されています。
急速冷却することで、食品を美味しく安全に提供できるだけでなく、冷却時間の短縮や作り置きに役立つので、作業効率を上げることができます。
ブラストチラーで「クックチルシステム」を実現
クックチルシステムとは
ブラストチラーを活用することでクックチルシステムによる食品の提供が可能になります。クックチルシステムとは病院や施設などにおいて、大量調理・提供する際の保存方法です。徹底した衛生管理のもと、計画的に大量調理を行う必要があります。
【加熱調理した食品を配膳するまでの流れ】
1.加熱調理した食品を急速冷却する
※加熱した食品を調理後30分以内に冷やし始め、その後90分以内に芯温を0~3℃まで冷却する必要があります。
2.冷やした食品をチルド保存する
3.提供時に再加熱して、盛り付ける
4.温かい食事を配膳する
クックチルシステムを導入することで、HACCP(ハサップ)に対応した衛生管理ができます。
HACCPとは、食品を製造・加工する工程において、食中毒や異物混入などが起こらないよう、危険を予測し対策を立て、監視するシステムです。
食品の安全性を守るための取り組みとして、HACCPに準拠する事業所が増えています。
また、調理工程をマニュアル化し、安定した品質で食品を提供できます。まとめて調理し計画的な生産ができるので、食材のロスを削減する効果もあります。
時間を有効に使い、作業を平準化できるなどの、メリットが生まれます。
ニュークックチルシステムとは
さらに最近では、クックチルシステムを改善した、ニュークックチルシステムを導入する動きが広まっています。クックチルシステムとの違いは、再加熱してすぐに提供できることです。
【加熱調理した食品を配膳するまでの流れ】
1.加熱調理した食品を急速冷却する
2.チルド保存したものを盛り付け、再加熱カートへ入れる
3.カート内でチルド保存し、提供時にカート内で加熱する
4.温かい食事を配膳する
食事を提供する際に、加熱後2時間以内に喫食しなければならないという決まりがあるので、クックチルシステムでは、再加熱して盛り付け、配膳するまでの作業が大変でした。
ニュークックチルシステムでは、最終工程である盛り付けを事前にできるので、提供時に必要な人員を抑えることができます。
朝食の準備を前日の夜に行うことができるので、早朝の作業をなくし労働環境を改善することが可能です。
また、配膳時間直前に再加熱するので、料理が冷めずにより美味しい状態で提供できます。
このようにクックチルシステムやニュークックチルシステムでは、大量調理において、より安全で効率的な作業を行うことができます。美味しい食事を安全に提供するために、急速冷却するブラストチラーは欠かせない機械です。
ブラストチラーの主なメーカー
どのようなブラストチラーがあるのか、3つのメーカーの機械をご紹介します。
フクシマ
ショックフリーズ機能搭載なので、冷却後そのまま冷凍することが可能。-2℃の冷気で約3℃まで冷却するブラストチル機能と、-40℃の冷気で約-20℃まで冷凍するショックフリーズ機能があります。
吸い込み循環方式で冷やすので、ムラを抑えて素早く冷却することが可能。操作しやすく、庫内が清掃しやすい構造になっているので、使い勝手が良い機械です。
エフ・エム・アイ(イリノックス)
8つの機能を搭載しているので、さまざまな使い方ができます。
・ブラストチル機能
・ショックフリーズ機能
・解凍機能
・35~85℃の温度帯で保温・保冷できる機能
・75℃で再加熱できる機能
・低温調理機能
・発酵機能
・低温殺菌機能
冷却・冷凍機能のほかにも、低温調理や発酵などの機能もあるので、調理のさまざまな場面で役立ちます。パンやお菓子を製造する際にも便利です。
ホシザキ
ショックフリーズ機能を搭載しています。冷やしたい食品や用途によって、冷却機能を選ぶことができます。
・-1℃の冷気で優しく冷やす機能
プリンなどのお菓子の冷却に最適です。
・-20℃の冷気で一気に冷やす機能
細菌が繁殖しやすい肉料理などの冷却に最適です。
・-40℃の冷気で一気に凍らす機能
素早く凍結させることで、品質劣化を防いで冷凍できます。
さらに、芯温制御、タイマー制御、庫内温度制御ができ、温度管理に優れています。
ブラストチラーの価格と中古機械
ブラストチラーの価格
ブラストチラーは、特殊な厨房機器なので、普通の冷蔵庫などに比べると高額です。小型の機械でも100万円以上することが多く、大型の機械になると500万円以上になることも。
また、大型の機械は室外機が別置きになるので、設置するために工事が必要です。小型の機械は室外機が一体化されているので、電源があれば設置できます。
中古の価格
高価な機械なので、中古機械の購入を考える方も多くいます。中古機械は、新品に比べて1/3から1/2くらいの価格で購入することができます。
中古の厨房機器を扱うリサイクルショップや、インターネットでも多くの機械が取引されています。新品同様の機械から傷の多い機械まで、さまざまな中古機械が出回っています。
中古を購入する際の注意点
中古機械は安く購入できますが、メンテナンスに費用がかかることが多いため注意が必要です。
モーターの付いている厨房機器は、使用頻度が高いと摩耗による故障が起こりやすくなります。故障すると個人での修理は難しいため、業者に依頼せねばなりません。
中古機械は保証期間が短いことが多いので、多額の修理費用がかかってしまうことがあります。
そのため使用頻度や使用状況、保証期間がどのくらいついているか、オーバーホールや清掃が行われているかなどを、確認することが大切です。
また、きれいな状態であっても、中古機械には使用感があります。特に、食品の冷却に用いられているため、臭いがついている場合があります。
清掃しても、なかなか臭いが取れないことも多いので、購入する際にはきちんと確認しましょう。
※参考
【価格で決めるのはNG】中古ブラストチラーの購入前に注意すべきこと
ブラストチラーの価格を見る
まとめ
大量調理を行う施設や病院などでは、クックチルシステムやニュークックチルシステムを導入して食事を提供しています。
その際、美味しく安全に提供できるよう、ブラストチラーが活用されています。
ブラストチラーは、安全性、品質、作業効率の向上などのメリットがあるので、飲食店などでも導入が広がっています。
さまざまな機械があるので、購入する際はどのような機械がいいのか、よく見比べて検討することをお勧めします。