
クックチルシステムは、より安全な調理、効率的な食事提供ができる調理法であることをご存知でしょうか?
クックチルとは、新調理システムの一つです。食材を調理したのち急速冷却して保存しておき、タイミングに合わせて再加熱して提供します。
広く取り入れられてきている新調理システム、知らないままだとコスト面などで損をしてしまっているかもしれません。
人手不足だけど人件費をかけたくない、特定の料理人でないと同じ味での提供が難しい、そんな悩みも解決できます。
そこで、このページではクックチルについて詳しくご紹介します。さらに、導入した際のメリットやデメリット、実際の導入事例についても解説していきます。
ぜひ最後までご覧いただき、時代に遅れぬようお店の課題解決に役立てていただきたいと思います。
クックチルシステムとは

出典:https://www.fukusima.co.jp/fukulabo/large-scale-cooking/
まずは、クックチルシステムとはなんなのかご説明していきます。
クックチルとは、食品を加熱調理した後すぐに急速冷却し(90分以内に中心温度3℃以下)低温で保存(0~3℃)、タイミングに合わせて料理を再加熱して提供する調理法です。クックチルで料理を保存できる期間は、製造日から最大5日間になります。
従来の調理法とは、なにが違うのでしょうか?
従来の調理法とは、皆さんが普段しているように、加熱調理した料理をすぐに提供するものです。
この調理法のことをクックサーブといいます。クックサーブにはさまざまな問題点がありました。
・加熱調理後2時間以内に提供しなければならない
・衛生管理が難しい
・保存ができないため廃棄が出やすい
・ピーク時には人員が足りず提供が間に合わない
・同じ味での提供には特定の料理人を常勤させるしかない
などが挙げられます。
クックチルを用いれば、これらの課題は解決します。では、実際にクックチルにはどのようなメリットがあり、なぜそのような課題を解決できるのか、説明していきます。
使用する際のメリット

従来の調理法とクックチルでは、調理から提供までの過程が大きく異なりました。この違いは、主に4つのメリットを生み出します。
安全性が高い
クックチルでは、食品を急速冷却することで病原となる細菌、微生物が増殖しやすい温度帯である60~10℃を短時間で通過します。また、規定に従って時間や温度をしっかりと管理することで、最大5日間の保存が可能となります。
さらに、提供する直前に再加熱を行うため、再び人の手が加わることがありません。そのため食中毒などのリスクを抑えることができます。
効率が上がる
前述した通り、保存期間が従来の方法に比べて最大5日間と大幅に長くなります。そのため、手の空いた時間に余分に料理を作っておくなど、状況に応じて調理することが可能です。
また、予め調理した料理を再加熱するだけなので、提供にかかっていた手間、時間が大幅に省けます。クックチルで調理がずっと効率的になります。
品質が安定する
クックチルを利用すれば、提供する料理の味が人によって違うということも防げます。特定の料理人にしか作れない料理、出せない味もクックチルで保存しておけば、いつでも提供が可能になります。
同じ味での提供をするには特定の料理人を常勤させるしかないという事態もなくなり、品質が安定します。
費用を抑えられる
クックチルでは、ピーク時の作業の平準化や休日出勤の軽減が可能になるので、人件費を削減することができます。
また、保存が可能なため、食材を運搬する頻度も少なくなり、運送費も削減できます。計画的に調理することで、廃棄を出さず必要最低限の食材費に抑えることができます。
クックチルの導入によって効率が良くなるので、さまざまなコストを削減できます。

出典:http://carefood.jp/reason/cookchill.html
ここまで、クックチルのメリットをご紹介してきました。
クックチルには、安全性が高い、効率が上がる、品質が安定する、費用を抑えられる、という4つのメリットがありましたね。
ここで、実際にクックチルを導入してどのような変化があったのか事例を使って見ていきましょう。
導入事例の紹介

出典:http://www.morinagashokuken.com/
いままで挙げた4つのメリットがもたらした変化がわかる事例を2つ挙げていきます。
病院での導入事例
ある病院では、従来のクックサーブで病院食の提供をしていましたが、提供前に盛り付けをしなければならないため時間に余裕がない、配膳中に冷めてしまうなどの問題点がありました。
そこで、クックチルを導入したところ、計画を立てて調理をしておくことで時間に余裕が生まれたそうです。また、安全に暖かい料理を提供できるようになり、患者さんが美味しいと言ってくれることが増えたそうです。
学校給食センターでの導入事例
ある学校給食センターでは、一日一万食の給食を製造しており、スタッフは大量の料理を作るため早朝から勤務していました。また、学校に運ぶまでの間に温度が下がってしまうことが悩みでした。
クックチルシステムを導入した結果、保存がきくために早朝からの勤務も減り、スタッフの負担が軽減したそうです。そして、提供する直前に温めるために温度の心配もなくなったと聞きます。
クックチルの導入で実際にこのような変化があることがわかりました。しかし、クックチルにはメリットだけでなく、デメリットもあるのです。
クックチルのデメリット・問題点

事例では、クックチルの導入によって良い変化がもたらされていましたが、それだけではありません。
クックチルの導入には気をつけなければならない点が2つあります。
スペースが必要
クックチルシステムに必須な急速冷却ですが、ブラストチラーという専用の機械が必要になります。大量調理をするにはそれなりに大きなブラストチラーがるので、スペースをとってしまいます。
また、急速冷却後の食品を低温で保管しておくスペースも必要となりますので、広いスペースが必要です。
相性の良くない料理がある
クックチルは急速冷却、再加熱というプロセスを含む調理法なので、料理によっては相性の良いもの、悪いものがあります。
一部の焼き物や炒め物、揚げ物などは相性が悪く、再加熱した際に従来の品質を取り戻すのが難しいといわれています。
ご自身の利用したい料理との相性を事前に研究する必要があるでしょう。

出典:https://www.yutori-kitchen.com/a5-offer-goods/index.html
ここまで、クックチルについてご説明してきました。しかし最近、クックチルよりも注目を集めている調理法があります。
それは、新調理システムのひとつであるクックフリーズです。
いま注目を浴びているクックフリーズとは

出典:https://www.olive-hitomawashi.com/column/2018/05/post-2211.html
クックフリーズは、クックチルよりも効率的で、クックチルのメリットをさらに伸ばすことのできる調理法として、最近注目を集めています。
クックフリーズシステムとは、食品を加熱調理した後すぐに冷凍(90分以内に中心温度-5℃以下、120分以内に-18℃以下)し保存、タイミングに合わせて料理を再加熱して提供する調理法です。
クックフリーズでは冷凍保存になるので、料理を保存できる期間は製造日から最大8週間まで伸びます。クックチルでは5日間なので、保存期間が圧倒的に伸びています。そのため、クックチルよりもさらに効率が上がります。
消費期限が伸びるため、一度に配送できる量もさらに増え運送費が抑えられます。また、効率が上がるため、人件費も抑えられます。さらなるコスト削減が可能です。
しかし、一般的な冷凍保存では、細胞が損傷を受け、冷凍前と味や食感が異なってしまうなどの問題があります。これは急速冷凍技術によって解決できます。短時間での冷凍で、冷凍前と変わらない味、食感を再現できます。
急速冷凍を取り入れたクックフリーズを用いることによって、クックチルよりもさらに効率的で費用対効果の良い調理、提供が可能になるのです。
まとめ
いかがでしたか?
より安全な調理、効率的な食事提供ができるクックチルについて、メリットや導入事例を踏まえてご紹介しました。
クックチルシステムでは、保存期間が長くなるため効率が良くなりコストが削減できる、より安全に安定した品質で提供できるといったメリットがありましたね。
また、クックチルのメリットをさらに伸ばすことのできる急速冷凍を取り入れたクックフリーズについても簡単にご紹介しました。
近年、クックチルやクックフリーズといった新調理システムは様々な場所で取り入れられ、活躍しています。課題解決の選択肢として、利用してみてはいかがでしょうか。