老舗洋食店「キッチンABC」が実践する、職人の味を守る冷凍活用

昭和44年創業の老舗洋食店「キッチンABC」は、「脳が覚える味」をコンセプトに、看板メニューのオリエンタルライスをはじめとする洋食を提供してきました。2022年にアートロックフリーザーを導入し、当初は冷凍商品の開発・販売をスタート。現在では、店舗の仕込み負担軽減や品質の標準化、新たな販路開拓、さらには職人技術の継承を支える仕組みとして、冷凍技術を活用しています。

基本情報

  • 会社名 株式会社東京フードサービス(キッチンABC)
  • 都道府県:東京都
  • 業種:飲食店
  • 凍結品目:ハンバーグのタネ、ソース、惣菜、冷凍弁当、ミールキットなど
  • 品質面での課題:店舗ごとの仕込み品質のばらつき、店の味の再現
  • ビジネス面での課題 属人的な店舗運営、新販路の開拓、事業承継
  • 導入機種 アートロックフリーザー

導入背景

コロナ禍をきっかけに、「お店をなくしたくない」という思いから、IT企業に勤めていた現社長が家業を承継しました。事業を見直す中で見えてきた課題は、職人に依存した店舗運営、時代の変化への対応、そして事業の将来像の3点でした。そこで着目したのが冷凍技術です。当初はECや冷凍自販機向け商品の開発を目的としてアートロックフリーザーを導入しましたが、実際に運用する中で、冷凍技術は販路拡大だけでなく、既存店舗の運営改善にも活用できることが分かりました。

導入後に実施したこと

現在は「新たな売上づくり」と「既存店舗の支援」の両面で冷凍技術を活用しています。ファクトリーではハンバーグのタネやソースを一括製造・冷凍し、店舗へ配送する体制を構築。これまで各店舗で行っていた仕込みを集約することで、繁忙期の負担軽減と品質の均一化を実現しました。また、ハンバーグをこねる機械や多機能調理器「iVario」を導入し、製造体制も強化。冷凍食品の開発で培った知見を活かしながら、計画生産の仕組みづくりを進めています。

商品開発では、店の味をそのまま冷凍するのではなく、最適な提供方法を模索しました。例えば、オリエンタルライスは当初冷凍弁当として販売を検討しましたが、電子レンジ加熱による品質低下を理由に見送り。その後、お客様がフライパンで約5分調理するミールキットへ変更することで、高い再現性を実現しました。惣菜プレートでは包装方法を工夫して解凍ムラを改善するなど、試作と検証を繰り返しながら品質を高めています。

導入後の成果

冷凍商品の販路は、ECや冷凍自販機に加え、百貨店のお中元・お歳暮、介護施設への卸、オフィス向け置き型社食などへ拡大しました。外商向けカタログでは、一度に約200セット、2,000食規模の受注を継続的に獲得しています。ECもリピーターを中心に前年比約2倍で成長。冷凍自販機は、計画生産に適したラインナップへ見直し、利益を確保しながら継続できる運営体制を整えました。

一方、店舗運営では仕込み時間やスタッフの負担が軽減され、品質のばらつきも改善。冷凍商品をきっかけに店舗へ来店するお客様も増え、リアル店舗との相乗効果も生まれています。

今後の展開

今後は、既存店舗のブランドを守りながら、新たな販路を通じてより多くのお客様へキッチンABCの味を届けていく方針です。また、新業態を展開する際には、最初から冷凍活用を前提とした商品設計やオペレーションを構築することも視野に入れています。

キッチンABCでは、冷凍技術を単なる保存手段ではなく、職人技術を次世代へ継承するための仕組みと位置付けています。職人の感覚や技術を活かしながら、再現性や計画生産を実現し、「守る」と「変える」を両立することで、長年愛されてきたブランドの価値を未来へつないでいきます。

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