【業種別のおすすめ付き】小型急速冷凍機の種類とメリットまとめ
業務用の急速冷凍機や急速冷凍庫には様々な機種やラインナップがありますが、その中でも中小企業や小規模事業者、個人事業主や個人商店向けの小型の急速冷凍機が人気を博しています。
以前は大手の食品メーカーの工場や一部の漁業協同組合で大型の急速冷凍機の導入が進んでいましたが、近年は川上から川下への導入が進み、小規模事業者の水産業・畜産業や飲食の個人商店にも小型の急速冷凍機が多く導入されています。
本ページでは、そのような小型の急速冷凍機の種類やメリットなどを詳しく解説し、各業種別におすすめの小型機もご説明していきます。
目次
機械のサイズについて
最新の業務用急速冷凍機のサイズについては、小型のフリーザーから大型のフリーザーまで幅広く機種とラインナップが存在します。急速冷凍機のスペックは時間あたりの目安凍結量によって定義され、それによって冷凍機の馬力が決まりフリーザー本体のサイズが決まります。
ですから、急速冷凍機のサイズは目安の凍結量で語られることが多くなります。
一般的に、小型の急速冷凍機と呼ばれる機種と、中型・大型の急速冷凍機と呼ばれる機種の違いと分け方については次のようになります。
小型の業務用急速冷凍機
・1時間あたりの目安凍結量:2kg/時間〜30kg/時間
主に、トレーなどをそのまま入れるバッチ式と呼ばれるタイプで、冷凍機の馬力は2馬力〜5馬力になります。
小型の急速冷凍機はフリーザー本体と冷凍機部分が一体型になっているケースが多く、冷凍機の配管工事が不要となります。
中型の業務用急速冷凍機
・1時間あたりの目安凍結量:30kg/時間〜100kg/時間
こちらもバッチ式ですが、小型のタイプよりも一度に入れられるトレーの枚数が多く、ラックなどにトレーを載せてそのままフリーザー本体に入れるタイプになります。
冷凍機の馬力は5馬力〜20馬力が一般的で、フリーザー本体と冷凍機が別置型であり、冷凍機の配管工事が必要となります。
大型の業務用急速冷凍機
・1時間あたりの目安凍結量:100kg/時間〜
大型の急速冷凍機はバッチ式とは違い”連続式”と呼ばれ、トレーをフリーザーに出し入れするタイプではなく、ベルトコンベアなどにより食品を流しながら凍結していくタイプになります。フリーザーの入り口から凍結前の食品を投入し、数十分〜1時間程度流れ、出口から凍結後の食品が出てくる仕組みとなっています。
主に、ベルトコンベアを直線的に長くするストレートタイプと、螺旋状に上に向かって流れていくスパイラルタイプの2つが主流です。
小型急速冷凍機の種類
では小型の業務用急速冷凍機や冷凍庫にはどのような種類があるのでしょうか。液体凍結型の冷凍機と空気凍結型の冷凍庫の2つの急速冷凍機に分けて、具体的に見ていきましょう。
液体凍結型の急速冷凍機
液体凍結タイプの急速冷凍機は、マイナス35℃の温度の液体(アルコール)に沈め、液体の熱伝導率の高さで急速に凍結する原理になります。このタイプは原理的に特許性がないため、多くの機械メーカーから類似品が出されています。
小型機の種類でいうと、1時間あたりの目安凍結量で3つの機種に別れます。
1時間あたり2kg凍結量の機種:
急速冷凍機の中で最も小型のミニタイプになります。家庭用コンセント(100V)で稼働しますが、1時間あたり2kgほどしか凍結ができないため、事業で使用するには物足りないスペックになります。液体の浴槽内も非常に狭く、試作品作りやテストマーケティング用に使われるケースが多くデモ用の機種と言えます。選ぶ方はほとんどいません。
1時間あたり10kg凍結量の機種:
冷凍機が3馬力になりますが、フリーザー本体と冷凍機が一体型で配管工事もありません。液体(アルコール)の浴槽が広くなるため、食品を載せるアミが昇降機能を備えた装置になっており、ボタン1つで昇降が可能となります。機械本体にキャスターがついていますので移動も苦になりません。
1時間あたり30kg凍結量の機種:
このタイプから冷凍機が室外型になりますので、配管工事が必要となります。冷凍機のスペックは6馬力になります。1時間あたり10kgでは物足りない方が選ぶ機種となります。
空気凍結型の急速冷凍庫
空気凍結タイプの急速冷凍庫は、温度は液体凍結機とほぼ変わらず、いわゆるショックフリーザー/ブラストチラーと呼ばれる超低温の冷凍庫を指す場合が多いです。
しかしながら、中には「湿った冷気を当てて乾燥を防ぐ」「立体的な冷気を当てて冷凍ムラをなくす」など特殊な原理をプラスした急速冷凍庫も存在し、より高品質な冷凍を実現しています。
このような急速冷凍庫の小型の種類は、時間10kg凍結量と時間30kg凍結量の2機種が一般的です。
1時間あたり10kg凍結量の機種:
こちらも冷凍機のスペックが3馬力になり配管工事も不要です。液体凍結タイプの急速冷凍機よりもスリムサイズとなり、フリーザー本体の重量が軽いため、移動も楽に行えます。事業で使用できる最小タイプの機種になり、試作品作りやテストマーケティング用でも使うことができ、用途も幅広く使用できます。
1時間あたり30kg凍結量の機種:
冷凍機のスペックは5馬力になり、室外機の配管工事が必要となります。ただ、フリーザー本体のサイズは時間あたり10kg凍結量の冷凍庫とほぼ同等のため、スペースをそれほどとらず非常に人気の機種となっています。
小型急速冷凍機のメリット
次に小型の業務用急速冷凍機や冷凍庫のメリットについて詳しく説明していきます。
冒頭で昨今の急速冷凍機の普及は食品流通の川下にまで広がっているお話をしましたが、今や業務用の急速冷凍機は大手食品メーカーや大規模漁協のものだけでなく、個人事業主にも手が届くレベルになっています。
小型の急速冷凍機にはたくさんのメリットがあるため、中小企業や小規模事業者、個人商店まで幅広く導入が進んでいるのです。
廃棄ロスを防ぐことができる
急速冷凍機は食材の解凍後のドリップを限りなく防ぎ、高品質な冷凍を実現するため、今までロスで廃棄してしまっていた食材を高品質に保管できます。小型の急速冷凍機においても、その機能や性能は大型の機械と比べても遜色ありませんので、今までマイナスだったものをプラスに変えることができます。
出来立ての料理を保存できる
急速冷凍機が高品質に出来るのは食材だけだと思っていませんか?
実は意外と知られていないのが、調理品や加工食も急速冷凍の威力を発揮できるということです。作り立ての熱い状態の料理も冷まさずに急速冷凍でき、出来立ての美味しさを閉じ込めることができるのです。
多品種少量生産にも適している
同じ食材食品を大量に急速凍結したい場合は適しませんが、飲食店や仕出し・弁当屋など多品種の食品を急速冷凍したい場合にもとても適しています。小型の急速冷凍機はトレイを差し込む棚が何段かに分かれており、「トレイ毎に食品を変える」「1バッチ毎に食品を変える」などができるからです。
ローリスクで販路拡大ができる
出来立ての料理の美味しさを閉じ込められるということは、生産地や店舗だけでなく、遠隔地にもその味を届けられるということです。テイクアウトや通販事業に活用でき、また小型機の価格は安価で手軽に導入できるため、新しい事業の立ち上げもローリスクでチャレンジができます。
機械の使い勝手がいい
急速冷凍機のサイズが大きくなればなるほど機能や操作手順が増え、複雑になっていきます。一方で小型の急速冷凍機の場合は機能や性能、操作もシンプルで使いやすく設計されています。初めてのスタッフでも簡単に使い方を覚えることができます。さらに、小型の急速冷凍機はキャスターがついているため、移動も業者に依頼することなく自分たちで手軽に行えます。
省スペースで導入できる
小型の急速冷凍機は一般の業務用冷凍庫、冷蔵庫とほぼ同じサイズなので、スペースをそれほど取りません。今お持ちの業務用冷凍庫、冷蔵庫のスペースに収まるレベルです。スペースの狭い都内の飲食店にも多数の納品実績もあるため、個人商店のお店にもほぼ導入が可能です。
ランニングコストが安い
急速冷凍機のランニングコストと言えば電気代が主なものですが、ランニングコストが高いのでは?という疑問とは裏腹に、かかる電気代は一般の業務用冷凍庫や超低温の冷凍ストッカーとほぼ変わりません。1kgの凍結量に対して、数円〜10円レベルになります。液体凍結機の場合はアルコールが徐々に減っていきますのでそれの継ぎ足しが必要となりますが、1kg凍結あたり数円プラスになるレベルです。
このように小型の急速冷凍機には多くのメリットがあるのです。
業種別のおすすめ小型冷凍機
小型瞬間冷凍機のおすすめ
多くのメリットのある小型の急速冷凍機や冷凍庫ですが、業種別におすすめのタイプをご紹介していきます。
水産加工業
ラウンドやセミドレス、フィレなど魚介類に様々な加工形状をもつ水産加工業は、凍結する魚の厚みがあるケースが多く、凍結スピードを求める傾向があるためスピードの速い液体凍結タイプの小型急速冷凍機が昔から多く導入されています。しかしながら、近年は真空包装する手間を省きたい、身質に拘りたい、という声から空気凍結タイプの小型機の導入も進んでいます。
畜産加工業
ブロック肉などの厚みのある肉を短時間で多く凍結したい場合は液体凍結タイプの小型急速冷凍機がおすすめです。ただし、液体凍結タイプは凍結する際に真空包装が必要なため、肉を裸のまま凍結したい場合は空気凍結タイプの急速冷凍機を選ぶと良いです。
食品製造業/食品メーカー
加工、製造した食品がどのような状態あるかでおすすめのフリーザーは変わってきます。すでに密閉されている食品を凍結したい場合はスピードの速い液体凍結機がいいでしょう。製造した食品をそのままを凍結したい場合はより使い勝手の良い空気凍結タイプの急速冷凍機がおすすめです。
仕出し/弁当屋
作り立ての熱い料理をそのまま凍結したいケースが多く、調理器具で出来上がった状態のままや容器に入れたままを凍結できるため、空気凍結タイプの急速冷凍機をおすすめします。特に空気凍結タイプの急速冷凍機は作業性や操作性がいいので、既存の製造工程、作業工程をほぼ変えずに冷凍作業を組み込むことができます。
飲食店
こちらも店舗で出すメニューを中心に凍結するケースが多いため、空気凍結タイプの冷凍庫をおすすめします。最近は飲食店が非対面営業の一貫で通販ビジネスを開始することが多く、それに対しても非常に相性の良い急速冷凍機となっています。逆に、液体凍結機のタイプはアルコールを使っているため、厨房では使いにくい点が挙げられます。
上記はあくまで一般的な話であって、そちらの方が100%良いというわけではないことに注意してください。
凍結品の状態や形状、成分、作業工程などにより結果は変わりますので、必ず凍結の比較テストをおすすめします。弊社ではそのようなテストも随時行っています。
まとめ
業務用の小型急速冷凍機の種類とメリット、業種別のおすすめ機種までご紹介しました。
昨今メーカーの努力もあり、急速冷凍機の小型化が進み、個人事業レベルでも手軽に導入が可能となってきています。以前まではサイズが大きく値段も高額で手が出なかった代物ですが、今は手軽に急速冷凍を利用でき、事業拡大に大いに活用できます。
弊社では国内でNo.1の小型急速冷凍機の導入実績がありますので多数の事例を持っています。詳細を聞きたい方はお気軽にお問い合わせください。