大阪の青果仲卸・泉州屋が冷凍加工事業を始動。フルーツの旬を閉じ込めて全国へ

大阪・東部中央卸売市場で70年以上にわたり仲卸業を手がけてきた株式会社泉州屋が、急速冷凍機「アートロックフリーザー」を導入して冷凍加工事業を本格始動しました。冷凍を新しい武器に、フルーツや鮮魚を一気通貫で加工・販売する泉州屋の取り組みを紹介します。
基本情報
- 会社名:株式会社 泉州屋
- 都道府県:大阪府
- 業種:青果・水産仲卸業、冷凍加工事業
- 凍結品目:フルーツ、水産
- 品質面での課題:従来の冷凍ではフルーツのみずみずしさや香りを保つことが難しかった
- ビジネス面での課題:冷凍を活用するまでは、生鮮流通の地理的制約があった
- 導入機種:アートロックフリーザー
【導入背景】仲卸業の新たな柱としての冷凍加工を始動
泉州屋は大阪・東部中央卸売市場を拠点に、果物・野菜・水産物を取り扱う仲卸として地域の食を支えてきました。卸売市場を取り巻く環境が変化する中で、供給の安定化、商圏の拡大、そして持続可能な仕入れ体制の構築を目指して泉州屋が2024年に本格始動したのが冷凍加工事業です。春には大阪市内に冷凍加工専用の新工場を竣工。同時に導入されたのが、デイブレイクの「アートロックフリーザー」です。「品質」「処理スピード」「製造能力」「操作性」などあらゆるバランスに優れていたことが決め手となりました。

【導入後に実施したこと】旬のフルーツを冷凍し小売・外食に展開
アートロックフリーザー導入後、着手したのが国産フルーツの冷凍加工です。春はイチゴ、夏はマンゴー・ゴールドバレルパイン・白桃、秋にはシャインマスカット等の葡萄、冬には柑橘類など、全国から仕入れる旬の果物を、鮮度そのままに凍結します。従来は難しかった「解凍後の香りとみずみずしさの再現」ができるようになり、スーパーや飲食店などでの採用が拡大。PB商品やオーダーメイド商品の開発も進行しており、柔軟な対応力が取引先から高い評価を得ています。


また、泉州屋の冷凍加工事業では、規格外フルーツを活用した菓子製造も進めています。形や大きさの理由で市場に出せないフルーツをピューレ加工し、マカロンやジェラートなどの高付加価値スイーツとして商品化。国産フルーツの生産量が減少する中、生産者支援を目指す取り組みです。
【導入後に実施したこと】一次加工・OEMで外食業界の課題を解決
フルーツ加工に続き、泉州屋では一次加工やOEM対応にも力を入れています。鮮魚の分野では、仕入れた魚を下処理・凍結して納品することで、ホテルのセントラルキッチンの役割を担っています。人手不足が深刻化する現場において、冷凍を活用した一次加工は、仕込み時間の短縮や人材コスト削減に直結するソリューションです。
【導入後の実績】冷凍鮮魚の輸出も始動。東南アジア市場へ拡大
現在、マレーシアを中心に、ブリや鯛などの冷凍鮮魚輸出にも取り組んでいます。魚を下処理した上で丸ごと凍結し、船便で輸出。既に数回の輸出実績があり、1回あたりの売上規模はおよそ1,000万円。2〜3ヶ月に1度のペースで輸出を行っており、今後はさらに頻度を高め、東南アジア各国への展開を広げていく計画です。

泉州屋の冷凍事業を支えるのが、「都市型工場構想」です。仕入市場・冷凍加工工場・出荷センターを大阪市内800m圏内に集約することで、鮮度保持と物流効率化を実現しました。原料をすぐに加工し短距離で出荷できるため、品質劣化や原料ロスを最小限に抑制。取引先との商談から出荷までをスピーディに行える点もメリットです。
【今後の展望】冷凍を軸に、商圏と価値を広げる
現在、冷凍加工事業は全体の約8割がフルーツですが、今後は水産分野の比率をさらに高めていく見込みです。フルーツでは生産者支援と安定供給を目指し、水産では冷凍による船便輸送でコスト競争力を強化。冷凍を活用することで、これまで制約があった生鮮流通の商圏を、東京、そして海外へと拡大できる可能性が広がりました。都市型工場や柔軟な提案力など泉州屋の強みを活かし、今後も冷凍を軸とした事業展開を加速させていきます。