急速冷凍とは?
急速冷凍とは何か、従来の冷凍方法との比較や、急速冷凍技術によって解決できる食品業界の課題についてお話しします。
食品の長期保存を目的とした冷凍技術ですが、従来の冷凍方法には食品を冷凍することで「見た目や味などの品質低下を引き起こす」という課題がありました。
⇒⇒従来の冷凍方法の課題
急速冷凍技術はそうした従来の冷凍における課題を解決するために開発され、食品業界のさまざまな分野で活用されるようになりました。
急速冷凍の技術にはいくつかの種類がありますが、どの技術も最大氷結晶生成温度帯(-1℃~-5℃)を速やかに通過させることが最も重要なポイントとなります。前述のとおり、この温度帯をゆっくり通過すると、細胞内の水分が膨張し、膨張した氷の結晶が細胞を内側から破壊してしまうのですが、逆にこの温度帯を速やかに通過することができれば、食品の細胞破壊を防ぎ、品質の劣化を防ぐことが可能になるということです。
急速冷凍技術は食品の品質を落とさず長期保存を可能にする
食品の細胞組織を破壊せずに凍結できると、解凍時に旨味成分が流れ出てしまう「ドリップ」がほとんど発生せず、みずみずしさや食感を保ったまま冷凍前と変わらない状態に戻すことが可能となります。
日本では1960年頃からマグロの凍結に−50℃の超低温を利用した急速冷凍が実用化され、刺身や寿司などの普及に貢献してきました。
食品を急速に凍結する為には、媒体の温度を下げるか、食材から熱エネルギーをいかに早く奪って凍結させるかが焦点となります。
エアーブラストによる凍結では、冷凍機の能力アップによって超低温の冷風を作り出し、急速に冷凍することが可能となりました。
液体窒素による凍結も、その超低温を利用することにより急速冷凍を可能としてきました。
その他、液体の熱伝導率の高さを利用したリキッド凍結や、過冷却の状態を利用した凍結といった比較的新しい急速冷凍技術も生み出されてきました。
このような技術の進歩が、食品の鮮度管理や運送コスト削減に多大な貢献をし、収穫時期や製品の価格変動に影響を受けず、食品の長期保存や流通を可能としてきました。