冷凍方法の課題

従来の凍結方法は、エアーブラスト方式(空気凍結)が主流です。
一般の家庭用冷凍庫でみられるタイプです。
しかし従来の冷凍の課題として、解凍時に味が落ちてしまうという問題があり、味の劣化は冷凍の常識として広まっております。
【冷凍 = 味が落ちる!?】
従来の冷凍方法で凍結すると、解凍時になぜ味が落ちるのでしょうか。
それには次の理由が挙げられます。
冷凍による細胞破壊
食品細胞内の水分は、冷凍によって凍結して氷の結晶に変化します。
従来のゆっくりとした冷凍方法(緩慢凍結)ですと、水分の膨張が大きく、できあがる氷の結晶も大きなものとなってしまいます。
そしてこの大きくなった氷の結晶が、食品の細胞を内側から突き破ってしまい穴をあけてしまいます。
(細胞が20~30ミクロンに対し、従来の緩慢凍結の場合、氷の結晶が100ミクロン程となります)
この突き破られた細胞の穴が、味の劣化の原因となります。
冷凍した食品を解凍すると、この穴から旨味がドリップとして流れ出し、また水分とともに味覚成分や栄養も失われてしまいます。
その結果、食品自体の歯ざわりも悪くなります。
食品内の水分が結晶となる温度帯は「最大氷結晶生成温度帯」と呼ばれ、この温度帯をゆっくり通過すると水分の膨張が大きくなり、氷の結晶が大きくなります。
良い冷凍を行う為には「いかにこの温度帯を速やかに通過するか」が一番の課題でした。
現在の急速冷凍技術は、この課題の解決の為に進化していったといっても過言ではありません。
*この温度帯を短時間に通過させると、水分の膨張を抑え、氷の結晶が細胞内でおさまり、細胞を突き破りません。
冷凍焼け・酸化
冷凍後の食品ですが、長期間保管していると、表面から水分が蒸発し、ぱさついた状態になります。
いわゆる「冷凍焼け」と呼ばれる状態です。
これは食品表面の空気が蒸発して霜になり、またその霜が蒸発して再結晶化するといった現象により引き起こされます。
また、冷凍保管中は、空気中の酸素の影響を受け、食品中の脂質が酸化してきます。
いわゆる「油焼け」と呼ばれる状態です。
緩慢凍結によって細胞膜に空いた穴や、奪われた水分の代わりに酸素が入りこみ酸化を進めます。
その他、タンパク質の変質も食品にダメージを与えます。
なお、食品内の脂質でも酸化しやすいものと酸化しにくいものがあり、前者の場合、保管方法にはより注意が必要です。
例えばサバ等の青物の魚類は酸化が進みやすいです。
急速冷凍の登場
これらの問題が「冷凍=味が落ちる」の原因となり、一般常識となって広まってしまいました。
逆に「良い凍結」と「良い保管」ができれば、食品は限りなく凍結前の味と食感を再現することが可能になります。
そこで急速冷凍の技術が登場してきました。
急速冷凍技術は、上記の問題を解決することにより、味の劣化の問題はもちろん、流通管理や保管コスト・保管期間の問題といった従来の冷凍方法での課題を解決する手段となりました。