エアブラスト冷凍とは?メリット・デメリットについて
急速冷凍機には、主に4つ種類があることを知っていましたか?
「エアブラスト冷凍」「ブライン冷凍」「液体窒素冷凍」「コンタクト冷凍」の4つです。
急速冷凍機の種類によって、適している食材などが異なってきます。
急速冷凍機の種類ごとにどういった仕組みかや特徴についてご紹介しているので、参考にしてみてください。
また、エアブラスト冷凍のメリットとデメリットについてご紹介しています。
・エアブラストとはどのような冷凍方法なのでしょうか?
・エアブラスト冷凍を導入することでのメリットがあるのでしょうか?
・逆にエアブラストのデメリットはあるのでしょうか?
そのようなご質問が多くありましたので、今回の記事で解説いたします。
目次
急速冷凍機とは?(エアブラスト・ブライン・液体窒素・コンタクト)
まずは、急速冷凍機とは?という疑問にお答えします。
急速冷凍機は、食品や医薬品などの物質を急速に冷凍するために使用される機械です。急速冷凍機とは、短時間で物質を急速に冷却することによって、微生物の成長や化学変化を抑制することができます。
この機能によって、食品や医薬品の品質を維持し、保存期間を伸ばすことができます。
急速冷凍機の種類について
急速冷凍機を選ぶときは、まずは冷凍機の種類から理解しておくと導入する際に何を選べばいいかスムーズにおこなうことができます。
急速冷凍機の種類は、「エアブラスト」「ブライン」「液体窒素」「コンタクト」の4つに分けられます。以下にまとめました。
- エアブラスト冷凍
- ブライン冷凍
- 液体窒素冷凍
- コンタクト冷凍
エアブラスト冷凍
冷凍機の中でも最も認知度が高い方式がエアブラスト冷凍です。気体冷却式とも呼ばれています。
仕組みは、エアブラストの言葉通り空気を用いて冷却する方法です。空気を高圧化し、圧力を解放することで空気の温度を急速に下げることができます。エアブラスト冷凍はひと昔前の冷却方法と比べてより急速に冷却することができるようになりました。
エアブラストの中には「バッチ式」と「トンネルフリーザー」と呼ばれる方法が2種類あります。
バッチ式
冷凍室の中に食品や医薬品をのせたトレーやラックを入れて、冷凍室の扉を閉じ、冷却した空気を送風して急速冷却する方式です。
トンネルフリーザー
トンネルの中に食品や医薬品をベルトコンベアにのせて、トンネルを通過する間に冷却した空気を物資に当て、トンネルを出た時には冷凍状態にするものです。
エアブラスト冷凍は、主に食品や医薬品などの冷却方法に活用されることが多いです。エアブラスト冷凍は、環境にやさしく、冷媒を使用しないため、エコフレンドリーな冷却技術として、現在最も注目されています。
また、エアブラストは冷却の空気を食品などに当て冷凍する方法ですが、強い風を当てることで商品の型崩れや乾燥の原因になります。
そのため、高風速低温のエアブラスト式冷凍機と低風速超低温エアブラスト式冷凍機があります。
冷却する食材によって、選び方が異なります。
ブライン冷凍
ブライン冷凍を別名「液体冷却式」と呼ばれています。
ブライン冷凍とは、液体を使用して冷却する方法です。液体は水に塩を加えた塩水とアルコール類を使用することで急速に冷却することができます。
塩水の凍点は約-6℃で水よりも温度が低いため、より低い温度で急速に冷却することができます。
液体窒素冷凍
液体窒素冷凍とは、窒素を液化した液体窒素を用いて急速に冷却する方法です。液体窒素の温度は約-196℃で超低温冷風を物資に当てることができます。
メリットは急速に冷凍することができるため、食品の組織の損傷が少なくできます。
しかし、ランニングコストが高くなりやすい冷凍方法なので、高級料理店などで活用されることが多いです。
コンタクト冷凍
コンタクト冷凍は、別名「プレート式冷凍」と呼ばれており、金属の板を挟んで冷却する方法です。金属板の内部に約マイナス40℃~マイナス30℃の冷却物資を流し食品を挟むことで冷却することができます。
コンタクト冷凍は、魚のすり身やペースト商品などによく活用されている冷却方法です。
エアブラスト冷凍のメリット
エアブラスト冷凍のメリットについてご紹介します。
主なエアブラスト冷凍のメリットは以下の4つになります。
- より急速冷却が可能
- 省エネルギー対策
- 環境にやさしい
- 広い設置スペースがいらない
より急速冷却が可能
エアブラストは、高速の冷たい空気流を使用して冷却を行います。これにより、品質を劣化させることなく、鮮度や風味を保ちながら冷却することができます。
省エネルギー対策
エアブラストは、冷却用の空気を活用するためひと昔前の冷却機と比べて、より抑えた電力で冷却することができます。
環境にやさしい
エアブラスト冷凍機は、冷媒を使用しないため、環境にとてもやさしいです。
また、二酸化炭素の排出量を減らすことにも繋がります。
広い設置スペースがいらない
エアブラスト冷凍機は、従来の冷凍機に比べると冷凍機自体がコンパクトにできています。工場内のスペースを広く必要としないため、空いたスペースは別の空間として利用することができます。また、メーカーによってはキャスターがついている移動式のエアブラストもあります。自社の工場の広さや用途に合わせて選んでみると良いでしょう。
エアブラスト冷凍のデメリット
続いては、エアブラスト冷凍のデメリットについてご紹介します。
エアブラスト冷凍の主なデメリットは「乾燥作用」「冷却のムラ」の2つになります。
乾燥作用
エアブラストは空気を用いて冷却する方法のため、商品表面に水分が蒸発しやすく、乾燥してしまう可能性があります。乾燥によって、品質の劣化や風味が変わってしまいます。食品や医薬品などで乾燥すると問題になってしまう場合は、エアブラストを活用しないことをおすすめします。
冷却のムラ
工場内の風の吹き方によって冷却時間に差が出てしまい、製品に冷却のムラが出てしまうことがあります。
そのため、導入する前に機械の説明書をよく見て、正しい製品の配置をすることが大切です。
このような課題から、メーカーによっては多方面から包み込むように冷風を食材に当てて冷却のムラを改善するエアブラスト冷凍機も出ています。
おすすめな急速冷凍機とは?
今までは「急速冷凍とは?」や「エアブラスト冷凍機のメリット・デメリット」についてご紹介しましたが、実際におすすめな急速冷凍機を以下にまとめました。
リ・ジョイスフリーザー(液体冷結機)
-35℃に冷却したアルコール液の槽の中に、食品を入れて凍結するタイプです。
メリット
- 驚異の凍結スピード
- ムラがなく一気に冷凍できる
こんにゃくゼリーで凍結スピードをテストしてみると、
「リ・ジョイスフリーザー」の中に入れて、10秒程度で凍り始めます。
また、一般的な急速冷凍機は直線的で一方向からの冷気を流し、冷却します。
一方向の冷気の為、食材に冷気が当たる部分と当たらない部分が発生してしまいます。
しかし、「リ・ジョイスフリーザー」は液体冷結機で食品を液体の中に入れて凍結できる仕組みです。
液体の中で凍結するため、ムラ無く一気に凍結することができます。
アートロックフリーザー(エアブラスト冷凍機)
食材にダメージを与えず、高品質に冷凍することができる、業界初の全自動モードを搭載した冷凍機です。
メリット
- マイクロウインドシステム
- スマートフリーズ
- 「全自動モード」
「マイクロウインドシステム」は、高品質に冷やすために開発されたシステムです。
従来の冷凍機では、一方向に冷気が流れる方式の為、冷気によって食材の品質が劣化してしまう課題がありました。今回開発したマイクロウインドシステムでは冷却空間内で食材を包むように冷気が他方向に流れます。そのため食品にダメージを与えず高品質を保ちつつ冷凍することができるようになりました。
「スマートフリーズ」では、食材や季節、室温などに合わせて冷凍設定をオート調整することができます。食材や季節の状況に合わせて、自動で適切な温度に調整してくれます。
オート調整機能は「故障リスク削減」「電気代の削減」「調整いらず」のメリットがあります。
「全自動モード」とは、冷凍の工程を全自動でサポートしてくれる業界初の機能です。
従来の冷凍機では、冷凍作業を行う担当者によって食材の品質が異なってしまう点が課題でしたが、アートロックフリーザーに搭載している全自動モードでは、だれがやっても同じ冷凍条件を再現できるため、冷凍品質のばらつきを防ぐことができます。
エアブラスト冷凍がおすすめな工場は?
エアブラストは今回の記事でご紹介した種類の中でも万能型と言われています。従来の冷凍機で冷却することができなかった食材も品質を保ちつつ急速冷凍することができるようになりました。
おすすめな工場:寿司生産工場、パン工場、水産工場、食肉工場など食品加工産業や医薬品産業です。
エアブラストは広い設置場所が必要なく、移動式のものもあるので、少し小さい工場などにもおすすめです。
まとめ
今回の記事では、エアブラスト冷凍とは?エアブラストのメリットとデメリットについてご紹介しました。
急速冷凍機の種類には4つあり、それぞれ仕組みが異なっています。
エアブラスト冷凍のメリットとデメリットについてご紹介しました。
メリットは、「より急速冷却が可能」「省エネ対策」「環境にやさしい」「広い設置スペースが必要ない」
デメリットは「乾燥作用」「冷却のムラ」
上記メリットとデメリットを理解したうえでエアブラスト冷凍の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、おすすめな冷凍機をご紹介しました。
・リ・ジョイスフリーザー(液体冷結機)
・アートロックフリーザー(エアブラスト冷凍機)
エアブラスト冷凍はコンパクトサイズがあったり、移動式があったりとスペースを広く使わないので自社工場や町工場など小さい工場にもおすすめです。
今回の記事を参考に失敗のない冷凍機導入を検討してみてください。