冷凍食品の安全性を保つ製造工程とは?規格基準や実際の手順を解説

冷凍食品市場は、コロナ禍をきっかけに急拡大しています。また、近年では、一流シェフがつくるミシュラン店の味も、冷凍食品を通じて自宅で食べられるようになりつつあります。

このようにおいしい冷凍食品が増えるなかで、自社の料理や食品も「冷凍で販売してみたい」と考える方もいらっしゃるのではないかと思います。場合によっては、自社の食品を冷凍にするうえで、味や品質などの低下が気になることもあるでしょう。

この記事では、まず、冷凍食品の製造工程と、製造工程から見る冷凍食品の規格を紹介します。そのうえで、後半では、冷凍食品の製造工程に欠かせない「急速冷凍」の技術と、おすすめ急速冷凍機「アートロックフリーザー」を紹介しましょう。

冷凍食品の製造工程を紹介

冷凍食品の生産工程

まず、冷凍食品には、大きく分けて以下3つの定義・基準があります。

  1. 食品衛生法の成分規格における基準
  2. 食品表示法の品質表示基準における基準
  3. 一般社団法人 日本冷凍食品協会で定めた基準

市販の冷凍食品の多くは、③が示す以下の基準に適合しています。

  1. 前処理(不可食部の除去、調理など)が施されていること
  2. 最大氷結晶生成温度帯を速やかに(おおむね 30 分以内)通過するように急速凍結されていること
  3. 容器・包装に入れられ、定められた表示がなされていること
  4. 製造から販売までの各段階を通じて、常に-18度以下に保存されていること

この章では、上記の基準と照らし合わせながら、冷凍食品の製造工程について詳しく見ていきましょう。

参考:冷凍食品認定制度における品質管理の手引き及び基準(令和3年度版) (一般社団法人 日本冷凍食品協会)

1.食品の前処理・調理

この工程は、冷凍食品の4条件の1番目「前処理(不可食部の除去、調理など)が施されていること」に当てはまるものです。

冷凍食品を製造するときには、最初に食材の前処理を行ないます。前処理とは、食材から食べられない部分を取り除く以下のような作業の総称です。

  • 野菜:洗ってカットする
  • 魚:鱗を剥がし、内臓や頭などをとって三枚おろしにする など

こうした前処理を施すことで、一般家庭のキッチンやレストランの厨房などでは、不要な部位の廃棄がなくなり、冷凍食品を料理にそのまま使えるようになります。

2.食品の急速冷凍

冷凍食品の4条件の2番目「最大氷結晶生成温度帯を速やかに(おおむね 30 分以内)通過するように急速凍結されていること」に当てはまる工程です。

冷凍食品として販売する食材・食品は、品質などを維持するために「急速冷凍」という方法で凍らせます。急速冷凍の特徴は、いわゆる一般冷凍と比較することでイメージしやすくなります。

一般冷凍は、例えば、北海道などで極寒の屋外に食材を置き、マイナスの外気温でゆっくり凍らせるようなイメージです。これに対して急速冷凍は、「食品の中心温度が-1~-5度になる最大氷結晶生成温度帯を30分以内に通過して凍結する」などの基準に合った冷凍方法になります。

30分以内に最大氷結晶生成帯を通過すると氷結晶が小さく抑えられます。その結果、食品のダメージが少なくなるのが、急速冷凍の大きなメリットです。

3.冷凍した食品の包装

冷凍食品における4条件の3番目「容器・包装に入れられ、定められた表示がなされていること」に当てはまる工程です。

急速冷凍させた食品の品質を維持するためには、製造後の保存や流通の過程で劣化させない工夫も必要になります。そこで重要となるのが、単純に包装や密閉をするだけでなく、食品・食材に合う包装材を選ぶことです。

また、冷凍食品を包装したあとは、商品の規格や調理方法、原材料などを伝える「表示」も必要となります。食品の衛生状態を保てる適切な包装と情報表示の2つをあわせたもののことを「消費者用包装(商業包装)」と呼んでいます。

4.温度管理の元で保存・流通する

冷凍食品の4条件の最後にある「製造から販売までの各段階を通じて、常に-18度以下に保存されていること」に当てはまる工程です。

冷凍食品の製造後は、-18度以下での保存・流通を行なうために、徹底した温度管理が必要となります。なお、この-18度というのは、国際的な自主基準です。

これに対して日本の食品衛生法では、冷凍食品の保存温度を-15度以下と定めています。この-15度は、これ以上温度が下がれば地球上の微生物が増殖しなくなることから設定された数字です。つまり-15度以下であれば、冷凍食品が腐りにくいという話になります。

ただし-15度では、冷凍食品の味わいや品質に変化が起こることがあります。そのため、冷凍食品の業界では、米国の調査結果に基づく-18度以下を自主基準として設定しているのです。

製造工程から見る冷凍食品の規格

揚げる前のコロッケ

冷凍食品には、製造工程ごとに規格が設けられています。この章では、冷凍食品における4つの規格と製造工程の特徴を紹介しましょう。

加熱後摂取冷凍食品

加熱した後に食べる冷凍食品のことです。電子レンジや湯せんなどで温めて食べるものが当てはまります。凍結前に加熱されたかどうかで、2つの種類に分けられます。

  • 凍結直前加熱:凍結させる直前に加熱されたもの
  • 凍結直前未加熱:凍結させる直前に加熱されていないもの

なお、厚生労働省の管轄である検疫所などでは、加熱後摂取冷凍食品に対して「冷凍食品のうち製造し、又は加工した食品を凍結させたものであって、無加熱摂取冷凍食品以外のものをいう。」といった説明をしています。

凍結直前加熱と凍結直前未加熱のどちらかは商品によって異なりますが、一般的には、フライドポテトコロッケエビフライなどの揚げ物が、加熱後摂取冷凍食品に該当することが多いでしょう。

参考:食品別の規格基準(冷凍食品)(大阪検疫所 食品監視課)

無加熱摂取冷凍食品

食べる前に加熱せず、そのまま飲食できる冷凍食品のことです。具体的には、ケーキ果物類などが該当するでしょう。

なお、無加熱摂取冷凍食品の定義では、“解凍前に加熱したかどうか?”は問われません。あくまでも、“食べる前に加熱するかどうか?”で区分される種類になります。

生食用冷凍鮮魚介類

むき身や切り身にした生食用の鮮魚介類を冷凍したものです。生食用であるため製造時の加熱は行なわれていませんし、食べるときには解凍は必要になるものの、加熱は要らない種類になります。なお、生食用冷凍鮮魚介類は、包装容器に入ったものだけが該当します。

代表的なものとして、いわゆる刺し身寿司ネタの冷凍食品が挙げられるでしょう。

切り身又はむき身の冷凍鮮魚介類

むき身や切り身にした鮮魚介類を冷凍させたものです。先述の生食用冷凍鮮魚介類との違いは、こちらが「生食用以外であること」になります。

この種類は、加熱後摂取冷凍食品に該当します。そのため、食べる前に加熱調理が必要となりますが、製造時には加熱されていません。具体的には、鍋に入れる魚介類などが該当するでしょう。

冷凍食品の製造工程に欠かせない急速冷凍とは

マグロの冷凍

冷凍食品を製造するためには、先ほども少し触れた「急速冷凍」の設備が不可欠です。この章では、急速冷凍がどういうものかについて、具体的なメリットを挙げながら詳しく解説しましょう。

冷凍食品に急速冷凍が必要な理由

例えば、自慢の料理や食材を冷凍食品として製造・販売する場合、料理の味や品質を落とさないことが非常に大切です。

そこで例えば、家庭用の冷凍庫を使って料理・食材をゆっくり凍らせる場合、氷の結晶が粗大化しやすい最大氷結晶生成温度帯を何時間もかけて通過するため、食品の7~8割を占める水分が氷になる過程で体積が膨張し、食材の細胞を破壊してしまうことになります。

また、ゆっくり凍らせる場合、細胞が壊れたところから旨味成分や水分が流出し、せっかくの味わいや食感が悪くなることもあるでしょう。

一方で、急速冷凍は、食品内の水分が氷結晶に変わる最大氷結晶生成温度帯を、30分以内で通過する技術です。急速冷凍を行なうと、氷の結晶の成長が抑制されるため、食品の細胞組織が壊れにくくなります

なお、先述の4条件のところで紹介したとおり、一般社団法人 日本冷凍食品協会では、より高品質な状態の冷凍食品を製造・販売するために、企業側に対して急速冷凍できる工程があることを求めています。

そのままの味や風味を保存できる

急速冷凍によって最大氷結晶生成温度帯を30分以内に通過すると、食品の細胞が壊れにくくなることで、料理や食材の以下のような要素が劣化しにくくなります。

  • 鮮度
  • おいしさ
  • 品質
  • 色味
  • 風味
  • 食感 など

“冷凍食品”というと家庭用のイメージが強いと思いますが、上記のような食品の魅力を維持しやすくなることから、急速冷凍の技術は業務用でも多く活用されています。

大量の食品を冷凍できる

急速冷凍の技術を導入すれば、料理や食材が完全に凍るまでの時間も圧縮できます。例えば、一般社団法人 日本冷凍食品協会の調査結果では、一般の冷凍方法(緩慢冷凍)と急速冷凍では、食品が-20度になるまでの時間に3倍以上の違いがあることが示されています。

ただし、具体的な所要時間は、食材の種類や導入する冷凍機の種類によってもちろん変わってきます。一概にいえるものではありません。

しかし、それでも急速冷凍の仕組みを導入すれば、冷凍時間の短縮によって一日あたりで製造できる冷凍食品の生産量もかなり増やせるようになるでしょう。

出典:急速冷凍が良い理由(一般社団法人 日本冷凍食品協会)

衛生面でも安心

多くの細菌の増殖は、冷蔵庫内の温度の目安である10度以下で遅延し、-15度以下で停止するとされています。

急速冷凍の技術を使って一気に料理や食材を冷凍すれば、菌の増殖が停止するまでの温度帯も素早く通過させることができるでしょう。その結果、食中毒のトラブルも起こりにくくなります。

冷凍食品の製造ならアートロックフリーザーがおすすめ

品質の高い冷凍食品を製造される方には、デイブレイクの「アートロックフリーザー」がおすすめです。

アートロックフリーザーの特徴は、優しい冷気が食材を取り囲む形で急速冷凍できることです。一般の急速冷凍機のように強い冷気を一方向から食材に当てるシステムではないため、食材へのダメージを限りなく減らし、乾燥・変色・酸化を防げるようになっています。

また、アートロックフリーザーで冷凍した食品は、半年などの長期間の保存が可能となります。そのため、たくさん製造したものを出荷まで長く保存できるという意味でも、冷凍食品の製造に合ったシステムでしょう。

まとめ

冷凍食品の製造工程は、記事で紹介したとおり厳格な条件に基づいて設計されています。そのため、冷凍食品の製造における大まかな工程は、どの工場でも基本的には変わりません。

冷凍食品の製造メーカーは、こうした工程のなかで、冷凍前の前処理から冷凍後の包装などをトータルで管理する必要があります。そのなかで近年注目されている急速冷凍は、冷凍食品の工程の根幹を担っている仕組みと考えてよいでしょう。

アートロックフリーザーの開発・販売をするデイブレイクでは、急速冷凍にともなうトータルコンサルティングを実施しています。気になる方は、以下のページよりお問い合わせください。

アートロックフリーザーの公式サイト

アートロックフリーザー(デイブレイク)の問い合わせフォーム

この記事の監修者

木下 昌之

デイブレイク代表
木下 昌之

70年続く老舗冷凍機屋の3代目。2013年、特殊冷凍テクノロジー×ITを軸に国内唯一の特殊冷凍機の専門会社としてデイブレイクを創業。各種メディアや書籍「フードテック革命」にてフードテック企業の代表格として紹介されるなど、「急速冷凍」をコアに食品流通業界の根本改革に邁進中。

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