冷凍食品を売るには許可証・届出が必要?冷食販売の始め方について解説
飲食店やフードサービスなどの事業を展開している方で、新しい販路拡大として「冷凍食品の販売」を検討している方も少なくないのではないしょうか。
冷凍食品を製造して自社で売る・販売できるようになることで、今までお店でしか売上を上げることができなかった状態から、新しい販路を作りさらに大きく売上を拡大していくことができます。
ですが、冷凍食品を売る際には販売に際しての許可証や届出書などが必要です。
その為、冷凍食品を売るを行なっていくために事前準備が必要になりますので、その点は予めチェックしておきたいポイントです。
今回の記事では新しく冷凍食品販売を事業として売っていくために必要な許可証や、実際に始める方法、その後のメリットなどについて簡単に解説していきたいと思います。
目次
冷凍食品の定義・種類について
まずは「冷凍食品の定義・種類」について説明します。
冷凍食品といっても、実は定義や種類がありますので、まずは冷凍食品を売っていくにあたって確認をしておきましょう。
冷凍食品の定義
冷凍食品の定義ですが、冷凍食品は以下の4つの条件を満たしている食品を指します。
- 急速冷凍されている食品であること
- 適切な方法で包装・保存されていること
- マイナス18℃以下で常時保存されていること
- 調理済みで食べることができない部位が下処理されていること
そのため冷凍食品を販売していくにあたっては、上記の条件をクリアしていることが前提となります。
冷凍食品の種類
冷凍食品には、大きく分けると3つの種類があります。
冷凍食品は食品衛生法によって規格基準が設けられており、以下の3つの種類に分類されます。
- 生食用冷凍鮮魚介類
- 無加熱摂取冷凍食品
- 加熱後摂取冷凍食品
1つ1つ詳しくみていきましょう。
生食用冷凍鮮魚介類
まず最初は「生食用冷凍鮮魚介類」です。
生食用冷凍鮮魚介類とは、生食用に冷凍した切り身などの加工された鮮魚介類のことを指します。
生食用冷凍鮮魚介類は他の冷凍食品と比較しても、衛生上や品質などにおいて異なる厳格な加工基準が設けられています。
無加熱摂取冷凍食品
続いては「無加熱摂取冷凍食品」です。
無加熱摂取冷凍食品とは、冷凍食品を解凍する際に加熱をしなくても食べられるような食品のことを指します。
例えば冷蔵庫などで加熱せずに解凍して食べられるような食品(ケーキや漬物など)が無加熱摂取冷凍食品に該当します。
加熱後摂取冷凍食品
続いては「加熱後摂取冷凍食品」です。
加熱後摂取冷凍食品は、加熱が必要となる冷凍食品のことを指します。
例えば、冷凍後に焼いたり揚げたりするような食べ物(揚げ物や冷凍麺など)が加熱後摂取冷凍食品に該当します。
このように冷凍食品といっても定義や種類が明確化されており、大きく3つの種類に区分けされて分類しています。
冷凍食品を売る事が販路拡大に効率的な理由
普段お店で食品を販売・料理を提供している飲食店などの企業にとって、冷凍食品を製造し販売することは販路拡大にとても効率的な方法と言えます。
現在お店にあるメニューを冷食化して通販や店頭での持ち帰りサービスなどを開始することで、売上の拡大が見込めるようになります。
冷凍食品は保存性が高く、一度作ってしまえば長期間商品として在庫を保管しておくことが可能です。
また商品を一から開発して作る必要もなく、お店で販売している料理などを冷食化して販売できる可能性もあり、販路拡大の戦略として非常に効率性が高い方法といえるでしょう。
ですが、そのためには業務用の急速冷凍機や販売するための許可証などを準備しておく必要がありますので、予算や販売化へのスケジュール感などもしっかりとイメージしておくことが重要です。
冷食を売る・販売を始めるにはどうすればいい?
では冷凍食品の販売を始めるためには、具体的にどのような手順や条件があるのでしょうか。
冷凍食品の販売を始めるためのポイントについて説明します。
冷凍食品の販売を始めるためには、簡単にまとめると下記のような点が必要です。
- 販売のためのビジネスプランの作成
- 製造業者の選定
- 販売方法・ルートの選定
- 販売許可証や届出書などの手続き
- 集客・販売戦略の準備
- 求人・人材の確保
- 営業・販売開始
実際に冷凍食品の販売を始めていくためには、事前に準備が必要な手順があります。
まず最初に販売のためのビジネスプランをしっかりと作成し、販売開始後どのような計画で売上を上げていくのかビジョンを立てておくことが重要です。
また冷凍食品を製造する業者の選定や、どのように販売(通販や店頭販売、宅配サービス等)するかなどを決めておく必要があります。
その後、販売にあたって必要な許可証や届出書などの手続きを行い、実際に販売ができるような状態を確保します。
冷凍食品を売るためのマーケティング方法についても考えておかないと在庫問題が発生してしまいますので、売る方法もしっかりと考えておきましょう。
販売方法によって人材の確保も必要になる可能性があります。
人材が確保できれば、冷食販売・営業の開始がスタート可能となります。
冷食を売る・販売導入のメリット
冷凍食品を製造して売る・販売導入は、飲食店などにとってさまざまなメリットがあります。
冷凍食品の営業販売を開始して売ることのメリットは以下のような点があげられます。
- 販路を拡大できる
- 利益率が高く売上が上がりやすい
- 社会経済情勢に左右されにくい可能性がある
- 商品バリエーションを増やしやすい
販路を拡大できる
冷凍食品は「販路を拡大できる」効率の良い方法です。
飲食店などでは、店内で料理などを提供し売上を上げる仕組みですが、実際にお店などに足を運ばないと利用することができません。
ですが冷凍食品を製造し販売することによって通販サイトなど、WEB上でも購入することができるため販路の拡大が可能です。
すでにある自社のメニューを冷食化することで効率性も高く、メリットがあります。
利益率が高く売上が上がりやすい
冷凍食品は「利益率が高く売上が上がりやすい」というメリットがあります。
製造や仕入れコスト、人件費なども抑えられ在庫管理もしやすく利益率が高い特徴があります。
その為、大きなコストがかからずコストパフォーマンスが高く見込めるメリットがあります。
社会経済情勢に左右されにくい可能性がある
冷凍食品は「社会経済情勢に左右されにくい」というメリットがあります。
例えば飲食店など店舗型の販売の場合は、コロナウィルスなど社会情勢の影響で客足が途絶え、売上が急激に下がるというデメリットなどもあります。
ですが冷凍食品であれば、通販サイトなどどんな状況でもユーザーが商品を購入することができる点から、比較的社会経済情勢に左右されにくい点もメリットとして考えられます。
商品バリエーションを増やしやすい
冷凍食品は「商品バリエーションを増やしやすい」メリットがあります。
冷食は在庫管理がしやすく、商品のバリエーションを増やしやすいというメリットがあります。
バリエーションが増えれば増えるほど、商品を買いたいと思う購入者が増えるので売上拡大が見込めます、大きな利益を得ることができます。その為、バリエーションを増やすことはメリットにつながります。
以上のように冷凍食品はメリットになりえる点が多くあります。
冷凍食品を売るためには許可証・届出が必要?
冷凍食品を売るためには許可証・届出は必ずしも必要になるわけではありません。
冷凍食品を売るために必要な許可証・届出はいくつかのパターンに分かれます。
- 自社で冷凍食品を製造して販売する方法
- 製造業者に委託して冷食を販売する方法
それぞれのパターンについて詳しく説明します。
自社で冷凍食品を製造して売る方法
まずは「自社で冷凍食品を製造して販売する方法」です。
冷凍食品を自社で製造して販売する場合は、冷凍食品製造業の営業許可、または複合型冷凍食品製造業の営業許可が必要です。
実際には、製造する冷凍食品の種類によって必要な営業許可証が異なってきますので、どんな食品の種類を冷食として販売するかにとって変わってきます。
詳しくは「管轄の保健所」に確認するのが一番早いので、製造する際には事前に確認して書類を準備しておきましょう。
製造業者に委託して冷食を売る方法
続いては「製造業者に委託して冷食を販売する方法」です。
製造業者に委託する場合は、届出の提出のみで許可証は不要です。
以前は食品衛生法の点で許可証が必要でしたが、現在では法の改正により不要となっています。
冷食を売るために必要な許可証・届出の種類
冷凍食品は販売する上で必要な許可証・届出の種類は以下のようなものがあります。
- 冷凍食品製造業の営業許可
- 複合型冷凍食品製造業の営業許可
- 冷凍・冷蔵倉庫業の届出
それぞれの許可証・届出について簡単に説明します。
冷凍食品製造業の営業許可
まずは「冷凍食品製造業の営業許可」です。
冷凍食品製造業は、食品や添加物等の規格基準に定められた食品を冷凍品として製造するときに必要な営業許可です。
一般的に、そうざい製造に該当する冷凍食品の製造がこれにあたります。
複合型冷凍食品製造業の営業許可
続いては「複合型冷凍食品製造業の営業許可」です。
複合型冷凍食品製造業の営業許可は、冷凍食品の製造だけでなく食肉処理業、菓子製造業(菓子・パン等)、水産製品製造業(魚介類やその卵を主原料にした食品の製造業)、麺類製造業に関する食品を製造したい場合の営業許可です。
冷凍・冷蔵倉庫業の届出
続いては「冷凍・冷蔵倉庫業の届出」です。
冷凍・冷蔵倉庫業の届出は、製造は行わず冷凍食品の販売や保管・輸送だけを行う営業形態の場合に必要な届出になります。
以上のような許可証・届出が必要になりますのでチェックしておきましょう。
冷食を通販で売る際にも許可証は必要なのか
冷凍食品を通販で売る際には、許可証が必要なのかどうか、気になる方もいるかと思います。
通販で売る際には、許可証の取得は不要です。
ですが、自社で冷凍食品を製造して通販サイトで販売する際には、前述した「冷凍食品製造業の営業許可」や「複合型冷凍食品製造業の営業許可」などの許可が必要となりますので注意しましょう。
業者に製造を委託して通販サイトで販売する方法であれば届出のみで基本は可能となっています。
冷食を売る・販売許可を得るための必須条件
冷凍食品を製造して売るためには、許可が必要となりますが、許可を得るために必要な条件はどのような点があげられるのか説明します。
冷凍食品を製造許可を得るために必要な条件は、以下の点があげられます。
- 食品衛生責任者の資格
- 施設基準の整備
- HACCP衛生管理の徹底
食品衛生責任者の資格
まずは「食品衛生責任者の資格」です。
食品衛生責任者とは、食品関係営業を行う場合の食品衛生における責任者です。
営業許可が必要な業種を含め、食品衛生法に規定された営業を行う際は、原則的に食品衛生責任者を定めることが義務付けられています。
施設基準の整備
続いては「基準に沿った施設の整備」です。
食品衛生法では、各地域の都道府県ごとに営業施設に必要な基準を条例で定めなければならないと規定されています。
このような基準は「施設基準」といい、営業許可を取得するために、施設基準を満たした施設(調理場)に整備したうえで許可の申請をしなくてはなりません。
HACCP衛生管理の徹底
続いては「HACCP衛生管理の徹底」です。
HACCPとは世界基準の衛生管理の方法で、食品の製造や加工、調理、販売などに関わるすべての食品等業者に原則として義務付けられている衛生管理法です。
営業許可を取得するためには、HACCPに基づいた衛生管理を行い整備したうえで許可の申請をしなくてはなりません。
以上のように営業許可を得るためには、しっかりと衛生管理・施設基準などを整備した上で許可を申請する必要がありますので注意しましょう。
冷凍食品を販売・売る際の注意点について
冷凍食品を販売。売る際には注意しなければならない点がいくつかあります。
注意すべき点は、下記のような点があげられます。
衛生管理法に準拠し常に維持する
まずは「衛生管理法に準拠し常に維持する」ということが重要です。
特に食品は人の体の中に入るものを販売するため、衛生面の維持は必須です。
許可証を得るためだけにルールを守るのではなく、運営後も常に安全性を維持した状態を続けることが必須です。
食中毒などの問題も過去発生していますので注意が必要です。
売る商品の品質管理
続いては「商品の品質管理」です。
冷凍食品は、保存期間が長くなるため、品質管理に注意する必要があります。
製造から販売までの温度管理や、パッケージの密封性などを確認し、品質を保つように心がけましょう。
消費期限に注意する
続いては「消費期限に注意する」です。
冷凍食品には消費期限がありますので、期限を確認し、期限が近いものは早めに販売するようにしましょう。
また期限が過ぎたものを販売しないよう注意しましょう。
解凍方法を明示する
続いては「解凍方法を明示する」という点です。
冷凍食品を販売する場合、解凍方法を明示することが重要です。正しい解凍方法を教えることで、お客様に安全かつ美味しい食品を提供することができます。
以上のように、冷凍食品を製造・販売する上では注意したい点は複数ありますので、注意点を守り安全に運営することが重要となります。
冷凍食品を売るために必要な書類や始め方のまとめ
今回は「冷凍食品を売るために必要な許可証・届出、始め方」などについてまとめました。
冷凍食品は効率性も高く、利益率も高いことから新規事業のメイン軸となる可能性が大いにあります。
現在、新しい事業として冷凍食品を製造・販売を検討しており、販路拡大を目指されている企業の方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。