食品の保存期間を延ばす窒素充填とは?メリット・デメリットをご紹介
近年では、コロナショックによってテイクアウトやデリバリー食品の需要・供給が増えたことで、食品における保存期間を延長するために“窒素充填”などの技術が注目されるようになりました。
この記事では、窒素充填の概要を紹介した上で、窒素充填のメリット・デメリットを解説します。
また、記事の後半では、調理品の保存に適した急速冷凍の技術も紹介します。食品の保存期間を延長する技術や施策を模索されている方は、ぜひ記事を参考にしてみてください。
目次
窒素充填とは
窒素充填は、加工食品などを容器に詰めるときに、空気の代わりに不活性ガスを入れて酸化や菌の増殖を防ぐ「MAP包装(ガス置き換え包装)」の一種です。窒素充填の場合、容器内の空気を窒素ガスで置き換えることになります。
窒素充填の目的と効果
窒素充填は食品の劣化を抑え、賞味期限を伸ばすために使用されます。
食品の封入時には、どうしても空気が入ってしまいます。そして、その空気の約21%が酸素です。食品に酸素が触れると、酸化反応が起こり、お客様に提供しおいしく食べてもらう上で以下のような好ましくない変質が生じます。
- 風味が落ちる
- 品質が低下する
- 香りや色が損なわれる など
そこで空気の代わりに窒素を充填すると、食品と酸素の接触がなくなることから、酸化を抑えることが可能です。窒素充填の技術は、ポテトチップスや飲料、焙煎珈琲豆、茶葉などの他に、肉や魚その他加工食品でも使われ始めています。
他のガス充填との違い
食品の品質保持に使われるガスには、以下のように窒素以外もあります。
- 二酸化炭素:いわゆる炭酸水に使われるガスです。水に溶けやすく、害虫やカビを抑える特徴があります。ただし、独特の風味があることから使い方には注意が必要です。
- 酸素:封入時に酸素を完全になくしてしまうと、肉や魚の色が変わりやすくなります。そのため、肉や魚のおいしそうな色を持続させるために、わずかな酸素を封入することもあります。
- アルゴン:窒素と同じ不活性ガスです。酸化を防ぐ特徴があります。窒素の約1.43倍の密度があることから少量で酸素と入れ替われるメリットがあるものの、酸素や炭酸ガスなどと比較すると高価であるため利用シーンは限られます。
ガス充填機の種類
ガスを充填する機械には、以下3つの方式があります。業務効率化する上でも、自社に合うものを選ぶ必要があるでしょう。
- ノズル方式:一つずつ充填を行なう小ロット向けの方式です。袋のなかにガスを送り込むため、ガスの無駄が生じにくい仕組みになります。コンパクトな装置が多く、手頃な価格で購入可能です。
- チャンバー方式:同時に複数の充填ができるモデルがあることから、小~中ロット向けとなります。チャンバー全体を脱気した上で充填を行なうため、ガス充填率がとても高くなるのも特徴です。
- ガスフラッシュ方式:ピロー包装で使われる種類です。ガスを吹き付けるだけとなるため、カステラのように穴が多い食品であれば酸素置換率は低くなります。充填スピードが速く、かつ大型装置が多いため、大量生産に適した種類になります。
それぞれのメリット・デメリットを比較すると以下のようになります。
方式 | メリット | デメリット |
ノズル方式 | ・比較的安い ・短時間で真空にできる | ・他と比べると真空状態が弱い ・一部の袋には向いていない ・液体は真空パックできない |
チャンバー方式 | ・比較的安い ・液体も真空パックできる | ・ノズル式よりも真空に時間がかかる |
ガスフラッシュ方式 | ・短時間で真空にできる ・大量生産に向いている | ・使用するガスに対して費用対効果が悪い |
窒素充填のメリット
食品の封入時に窒素充填を行うと、以下の効果・メリットが得られます。
食品の型崩れを防止できる
例えば、真空包装の場合、包装時に空気を抜きすぎると食品に多くの圧力がかかることで変形してしまうことがあります。
窒素ガスを充填すると、容器のなかに気体が詰まった状態が維持できるため、真空包装のように、食品が“ギュッ”と潰れることがありません。食材の形をキープしたいときにおすすめです。
また、窒素の詰まった容器はそれ自体がクッションのようになるため、輸送中に食品同士がぶつかることで生じる衝撃や荷重などからも食品を守ってくれます。
誤食や廃棄物が発生しない
封入された窒素ガスは、食品パッケージを開けると同時に空気中に広がります。それはつまり、食品パッケージのなかに脱酸素剤のように“物理的に残るもの”や“廃棄すべきもの”がないことを意味します。
脱酸素剤のようなものが残らないことは、お子様やお年寄りの誤飲・誤食が防げる利点にもなります。
食品への影響がない
空気中に普通に存在する窒素は、無味無臭です。水にほとんど溶けない不活性ガスであることから、味への影響がありません。また、脱酸素剤のように香りを吸収することもないため、食品が本来持つ魅力を維持しやすい利点があります。
窒素充填のデメリット
窒素ガスは、上記のようなメリットによって、不活性ガスの充填でよく使われる種類です。ただ、そんな窒素ガスにも以下のようなデメリットがあります。窒素ガスを使うときには、注意しましょう。
窒素ガスのみでは嫌気性菌に対応できない
まず、容器のなかをすべて窒素ガスで満たしても、食中毒などを完全に防ぐことはできません。
その理由は、ほとんどの食中毒菌は嫌気性菌であり、酸素がなくても繁殖できてしまうからです。ただし、窒素ガスにも、カビや好気性菌を抑制できる効果はあります。
そのため近年では、色・風味などの低下と酸化の両方を防ぐために、窒素ガスと炭酸ガス(二酸化炭素)をミックスした充填を行う企業が多くなっています。
特に大手のコンビニエンスストアなどでは、ミックスガスの充填を導入することで、賞味期限の延長に成功しています。
酸化を完全には防止できない
酸素は食品自体にも含まれているため、窒素充填を行っても酸素が完全に抜けるわけではありません。
例えば、カステラのように酸素を含みやすい食品の場合、窒素充填を行ったあとに容器内の窒素濃度が下がることもあります。
そして、食品内に残った酸素は、酸化を進める要因になります。
また、パッケージのガスバリア性(気体などの透過しにくさ)が低い場合、外部から酸素が透過することもあります。その結果、時間の経過で食品が劣化することもあるでしょう。
調理品の保存なら急速冷凍がおすすめ
窒素充填の技術は、賞味期限を伸ばすために使われますが、食品によっては大きな延長は難しいのが現状です。商品によっては品質を保持できるのは数日程度の短期間になってしまいます。
窒素充填以上に食品を長期間保存したい方には、「急速冷凍」の技術を活用するのがおすすめです。
なかでも特におすすめしたいのが、微細な冷気とAIの自動制御を用いた特殊冷凍技術「アートロックフリーザー」です。
アートロックフリーザーを使うことで、従来の急速冷凍機にありがちな乾燥・酸化・変色・身割れといった食品ダメージを防ぐことが可能です。そのため、冷凍できなかった食品も冷凍後遜色ないレベルの品質に再現することができています。
また、菌が繁殖しやすい温度帯を一気に通過できる利点があり、菌の繁殖を抑えることで食品の安全性を守るためにも非常におすすめです。
まとめ
窒素充填は容器内の空気を窒素に置き換えることで、食品の酸化を防ぎ賞味期限を延ばす技術です。ただし、食品によっては、数日程度の賞味期限が限界とされています。
これらの食品を長期保存するのであれば、急速冷凍の技術を使うことがおすすめです。これまで冷凍が難しいとされてきた様々な食品が品質を損なわずに解凍できています。
食品の保存でお困りの方はぜひ資料で詳しくご覧ください。