急速冷凍機は温度が最も重要!凍結〜保管〜解凍工程ごとに解説

  • 急速冷凍機ってなに?!
  • 急速冷凍機で冷凍する時の温度は?
  • 急速冷凍機に入れることができる食材の温度は?
  • どうやって保管するの?
  • メリットは?

食品業者様は、このような疑問をお持ちではございませんか?

近年その引き合いが強まる急速冷凍機ですが、「最適な機種選択をされていないケース」や「導入してもうまく使いこなせていないケース」が散見されるのも目を背けてはいけない事実です。

読者のみなさまがこのような事態に至らないためには、検討者様ご自身が上記のような疑問を解決し、できるだけ急速冷凍機に詳しくなることが有効です。

そこで今回は、急速冷凍機のトップメーカーであり20,000件以上の相談実績を持つ弊社が、急速冷凍機を適切に選び運用していくために、「温度の重要性」について詳しく解説します。

  • 急速冷凍のメカニズムについて一段深い理解をしたい
  • 急速冷凍機を選ぶ際のポイントを理論的に知りたい
  • 急速冷凍機を運用する際のポイントを知りたい

という声にお応えできるように解説していきます。

従来の急速冷凍機に関する記事よりも専門的/実践的な内容になりますが、急速冷凍機の「最初から最後まで」をわかりやすくご説明します。

急速冷凍は”速度”だけでなく”温度”にも注目!

まずは急速冷凍の定義を確認しましょう。

”急速冷凍とは、食品内の水分が凍るマイナス1℃~マイナス5℃の温度帯を30分以内に通過する凍結方法のこと”をいいます。

凍結スピードが早く、食品内の水分が凍る温度帯を素早く通過させることができるため、氷の結晶の成長を抑制し、細胞破壊を防ぐことが可能となります。食品の細胞を破壊しないので、鮮度・風味・食感が維持され、冷凍前の美味しさ、品質を解凍時に再現できます。

瞬間冷凍庫の温度

種類としては、

空気凍結…冷風を食材にあてることで凍結する。ブラストチラー(*1)と呼ばれることもある。
液体凍結…真空パックした食材をアルコール液につけて凍結する。

*1:本来のブラストチラーは「予冷」機能の冷却器のことを指し、これも冷風をあてて食材を冷やします。急速冷凍機でブラストチラーの機能を兼ねているものもあるため、空気凍結のことを指す場合もあるのです。

食材によって適した種類に違いがあるため、急速冷凍機の選定ではそれぞれの特徴を正確に理解する必要があります。

急速冷凍機を特徴づけるのは、言葉の通り速度なのですが、実は、定義からは見えてこない温度にも着目すべきなのです!

その理由は3つあります。

・揚げたてとんかつからお刺身まで!あらゆる温度の食材を凍結できる
・速いだけでなく、一般の緩慢冷凍よりも低い温度で凍結する
・保管温度を低く設定することで保存期間が飛躍的に伸びる

という確かなメリットが存在するからです!

これについて、次で凍結→保管→解凍の工程順に詳しくご説明します。

実はこの時点で、急速冷凍機と一般の冷凍庫との違いが現れています。
一般の冷凍庫では「凍結」と「保管」は同じ工程とみなすことができますが、急速冷凍機では明確に分けていく必要があります。

瞬間冷凍庫の温度

【凍結】急速冷凍機は圧倒的に「低温度」で「速い」!

凍結する食材の温度

一般の緩慢冷凍庫であれば、庫内に入れる食材は荒熱をとる必要があります。

しかし、急速冷凍機ならアツアツのままでも大丈夫です。とんかつからお寿司まで、あらゆる食材をそのままの温度で冷凍にかけることができます。

〜マイナス5°C

みなさん、食材が冷凍されるのは0°Cの温度からだと思っていませんか?

実はこれは誤りで、氷の結晶が生成されるのはマイナス1°C~マイナス5°Cの温度帯なのです。これを「最大氷結晶生成温度帯」と言います。

一般の冷凍庫ではこの温度帯を何時間もかけてくぐっていきます。一方の急速冷凍機ではこれを30分以内にくぐっていくのです!

凍結にかかる全体の時間としても、機種や食材にもよりますが、緩慢冷凍の20倍の効率で冷凍されるケースもあります。これがなぜ良いことなのかといえば、生成される氷結晶の大きさが歴然と変わってくるからなのです。

下の図を見ていただければわかるように、一般の冷凍庫では粒の大きな氷結晶が生成され、細胞膜を破壊していることがわかります。その結果、旨みや栄養素を多く含むドリップと呼ばれる液体が漏れ出してしまいます。

一方の急速冷凍機では、粒の小さな氷結晶が生成され、細胞膜を破壊することなく凍結されていることがわかります。その結果ドリップが漏れる事はなく、新鮮な状態が保たれます

このように、温度帯を通過するスピードによって凍結の品質に歴然とした差が出るのです。

マイナス5°C〜マイナス18°C

マイナス18°Cという温度は非常に大事なので注目してください。なぜなら、マイナス18°Cでバクテリア(微生物)の活動が停止するからです。

そもそも食品劣化の大きな要因としてバクテリアの増殖が挙げられます。バクテリアの活動を停止させることは、増殖を防ぎ、劣化を防ぐことに繋がるのです。

ここで、”活動が停止”することと”死滅する”こととは異なる点に注意してください。残念ながら、冷凍によって一部のバクテリアは死滅しますが、多くは活動を停止するにすぎません。

解凍すれば活動を再開します(バクテリアに一時停止ボタンを押しているようなものです)。そのため、”冷凍=殺菌”にはなりえません。つまり、冷凍する前から衛生的であることは前提条件になりますので注意してください。

マイナス18°C~

それぞれの冷凍庫の温度帯は以下のように異なります。

一般の冷凍庫(家庭用):マイナス20°C
一般の冷凍庫(業務用):マイナス20°C
急速冷凍機:マイナス30~40°C

”マイナス18°Cより低ければいいのだから、マイナス20°Cで十分じゃないの?マイナス30〜40°Cまで冷やす必要あるの?”という疑問をもたれたでしょうか。

実は、ただマイナス18°Cを下回っていればよいというわけではなく、品質維持のためにはマイナス30~40°Cの温度帯まで冷やす必要があるのです!

その理由を次で保管工程と一緒に詳しく説明します。

【保管】急速冷凍機は圧倒的「長期」保存が可能!

”なぜマイナス20°Cの一般の冷凍庫じゃダメなの?急速冷凍機でマイナス30〜40°Cの温度帯まで冷やされる意味は?”の疑問への答えは以下になります。

  1. 保管時、温度が低ければ低いほど長期保存が可能だから
  2. 急速冷凍機なら、温度の上下が小さく劣化を防ぐから

以上2点の原理が働いているからです!

長期保存について

直感的にも理解できるかもしれませんが、保管の温度が低ければ低いほど分子の運動を抑えることができ、食品の劣化を防ぐことができます。

食品劣化の要因はバクテリアのみならず、

  • 化学反応
  • 酵素の作用
  • 水分蒸散

なども挙げられます。”マイナス18°Cで油断しているヒマはない”のです。

急速冷凍機では設定次第で最低マイナス50°Cまで温度を下げることができるため、徹底して鮮度にこだわりたい方には強くおすすめできます。

温度変化について

一般の冷凍庫の場合は、”「凍結」と「保管」を同じ冷凍庫で行う”ため、「これから凍結させたい食材(常温以上)」を庫内に入れると保管されていた他の食材の温度も上昇させることになります。

時間が経てば再び庫内温度は低くなりますが、多くの食材の温度を上下させることになり、これが品質劣化につながります。

一方で、急速冷凍機を実際に運用する際は”「凍結」は急速冷凍機、「保管」は別のストッカー”で行い大量の食材を短時間で凍結させるような運用が一般的です。

故に、ストッカーにはマイナス30°C〜40℃まで温度を下げた食材しか入れないため他の食材の温度も低温に保たれます。緩慢冷凍に比べ、急速冷凍機の活用で品質劣化のタイミングを大幅に減らすことができるのです。

急速冷凍機で凍結すれば、適した温度帯/適した保存方法でストックすれば数年レベルでの長期保存も可能になります。コロナ禍の影響があり需要が不安定なこのご時勢では益々明確なメリットと言えます。

以下の梨はどちらも同じタイミングで凍結したものですが、右は適切な保管方法で保管したもの、左は適切でない保管方法で保管したものです。
左は1ヶ月ほどで写真のように変色してしまいましたが、右は2年経っても写真のようにきれいな色を保っています。

急速冷凍庫の温度を守ったなし

急速冷凍機の導入が保管の面においても大きなメリットを有していることをご理解いただけたでしょうか?

【解凍】急速冷凍機選びでは解凍の温度まで考慮する

保管してきた食材を実際に使用するためには解凍の工程に入ります。

確かに、急速冷凍機での凍結と適切な保管を経ていればこの時点で品質は格段に維持されていますが、出口がおざなりになってしまっては効果は半減してしまいます。

解凍は凍結よりも軽視されがちですが、温度管理が複雑で、品質に直接的に関わる大変重要なステップです。

しかしながら、急速冷凍機で凍結した食材に一律の解凍方法・時間は存在しません。

大きな食材グループごとに分類をすることは可能ですが、お客様の食材にとってベストな解凍方法・時間・温度は食材の質や調理方法によりまちまちです。実は、このポイントこそ急速冷凍機選びのミソとなります。

例えば、食材の分類ごとに解凍方法の一例をあげると、以下のようになります。

葉もの野菜/果物:凍ったまま食べるorそのまま調理にかける
デンプン系:加熱で解凍(湯煎かレンジでの解凍)
肉/魚:冷蔵庫での解凍(できるだけゆっくり)

さらに、具体的な食品名と解凍方法の例を挙げますが、あくまで一例であり、ケースに応じて調整する必要があることを忘れないでください。温度帯に関する知識をし、適切な解凍方法を一度把握できれば高い効果が期待できますので、実践あるのみです。

・とんかつの場合
 自然解凍・レンジでの解凍では衣がしなり揚げ物の良さを減じてしまうため、オーブンでの解凍が望ましい。

急速冷凍庫の温度

・寿司の場合
 シャリとネタでは適した解凍方法が異なる。シャリは人肌の40°Cくらいが良いとされるが、ネタは10°C〜15°Cを超えてしまうと食感を損なう→シャリはお湯に浸しネタは蒸らすなど、特殊な湯煎がベストである。

瞬間冷凍庫 温度

・ケーキの場合:
 温度が高くなると脂肪分の粒子がくっつきやすくボソボソになってしまうため、低温での解凍が原則。生クリームの細かな質の違いによって左右されるため、冷蔵解凍か常温解凍かを見極める必要がある。

・お弁当の場合
 お米がボソボソとする白蠟化(はくろうか)という現象を防ぐためには、凍結も解凍もマイナス1°C〜マイナス5°Cを如何に速く通過できるかが一際大事である。おかずとご飯それぞれの最適な解凍方法が異なるため、”自然解凍1時間→食事直前にレンジで30秒温める”や”ご飯に合わせてレンジで温め、おかずは余熱で解凍する”などの細かな方法をケースに応じて調整する。

急速冷凍機の温度

急速冷凍機を導入される際、この解凍方法・時間が明らかにならなければ、導入後の具体的な業務を設計できません。「食材を冷凍させること」ではなく「利益を増やす」「事業を成長させる」といったお客様の真の目的を実現するためには、ベストな解凍ノウハウの把握も含めた構想があるとよいでしょう。

弊社では急速冷凍機のご提案だけでなく、お客様に最適な急速冷凍機の使い方・温度管理方法・解凍方法のご提案から、事業運営・経営に関するご相談も承っております。20,000件以上のご相談を通して蓄積したノウハウとデータベースをもとにお客様のケースに即した提案をさせていただきます。

まとめ

急速冷凍庫の温度

ここまでのポイントを以下にまとめます。

・急速冷凍の特徴は凍結の”速度”のみならず、凍結・保管・解凍の”温度”であること。
・凍結では、マイナス1°C〜マイナス5°Cを迅速に通過し細胞膜を壊さず、マイナス18°Cをくぐりバクテリアの活動を止める
 →食材の品質を飛躍的に高められること。急速冷凍機なら、緩慢冷凍の20倍速い!
・保管では、マイナス30°C以下まで冷やし分子の活動を抑える
 →”温度の上下”を抑えて”長期保存”と”劣化防止”を可能にすること。急速冷凍機なら、圧倒的低温度で安定!
・解凍では、食材や目的に合わせた柔軟な”ノウハウの発見”が大切である
 →温度帯の知識を把握のうえで実際に試し、複数の機械と使い方を比較すること。急速冷凍機選びは解凍まで考慮に入れるべし!

このようになります。いかがだったでしょうか?

「すごいすごいと言われているけど、結局なぜ急速冷凍機が良いの?」という疑問にお応えできていれば幸いです。

急速冷凍機の導入を検討される際には、ご自身が一定の知識を持っていただくのが一番です。しかし、忙しい毎日の中「冷凍について調べ」「温度帯について理解し」「信頼できる情報を選び」「自社のニーズに合うか」を確認するのは大変かつ多大な時間を要する作業になります。

そんな時はぜひ、急速冷凍のプロフェッショナルである当社にお気軽にご相談ください。「急速冷凍機がどんなものか、軽く聞いてみたい」など、小さなお話からでも大歓迎です!
「金額を知りたい」「補助金って使える?」「小型のものってある?」など多様な質問もお待ちしています。

また、当社では国内で唯一、実際に食材を持ち込んで頂いて複数社の急速冷凍機を比較できるテストルームを構えています。こちらもぜひご検討ください。

この記事の監修者

木下 昌之

デイブレイク代表
木下 昌之

70年続く老舗冷凍機屋の3代目。2013年、特殊冷凍テクノロジー×ITを軸に国内唯一の特殊冷凍機の専門会社としてデイブレイクを創業。各種メディアや書籍「フードテック革命」にてフードテック企業の代表格として紹介されるなど、「急速冷凍」をコアに食品流通業界の根本改革に邁進中。

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