【業務用】冷凍庫につく霜の原因を徹底究明!着霜を防ぐ方法とは?
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冷凍庫にひどく霜がついている状態に悩まされていませんか?
庫内の霜は冷却能力を低下させます。また、冷却能力の低下に伴い凍結時間の長期化、電気代の増加といった弊害も巻き起こしていきます。
業務用として冷凍庫を使っている方に霜は非常に厄介な敵ですね。
霜ができる原因を解説し、それから見えてくる霜をつきにくくする対策を紹介します。
この記事を読んで、霜に悩まない、クリーンな冷凍を実現してください!
目次
霜付きの原因
冷凍庫のしくみと霜
まず、冷凍庫のしくみがどのようになっており、どのように霜がついてしまうのかを解説します。
冷却器内は主に、「圧縮機」「凝縮器」「膨張弁(もしくはキャピラリーチューブ)」「蒸発器」によって構成されています。
これらの機関をフロンやアンモニアなどの冷媒ガスが循環しています。
より詳しい説明を見てみましょう。
気体であった冷媒は最初に「圧縮機」で圧縮されます。この時、冷媒ガスは圧縮されて高温且つ高圧となりますが、その後に「凝縮器」を通ることによって液体に変わります。
その次に「膨張弁」に冷媒が流れ込み、圧力が急激に下がります。圧力が下がることによって沸点がさがり、蒸発しやすくなります。
最後に「蒸発器」がこの冷媒を気化させます。液体は気体に変化する際、熱を必要とするため、「蒸発器」で気化された冷媒は周りの空気から多くの熱を奪います。
この「気化熱」を利用して周りの空気を冷却しているのです。
冷却された空気はファンによって庫内に送り込まれ、その後、食品に働きかけて食品の熱を奪います。
食品の熱を奪った風は、再度「圧縮機」に到達し、上記の手順で冷凍機内を循環していきます。
このサイクルで冷凍庫は成り立っています。
また、この記事のテーマである「霜」は庫内の中でも冷却装置の付近や、庫内に風を送るファンに付着することが非常に多いです。
熱を持った空気が冷たい冷却機に触れると、温度差によって空気中にあった水蒸気が飽和し、霜となって現れます。
結露と同じ原理です。
このため、食材の投入などで庫内の温度が上がった際、冷却器やファンと庫内の温度との間に温度差が生じ、霜ができてしまいます。
霜が付く原因
温度差が原因で発生する霜ですが、具体的にどのようなことで温度差が生じるのか挙げていきます。
まずは、外気が入ってしまうことによって霜が発生する原因を出してみましょう
・頻繁に、もしく長時間ドアを開けている
・扉のドアのパッキンに不具合がある
・扉が故障している
・排水口から外気の侵入がある
・気圧調整弁に故障・不具合が生じており、外気の侵入がある
以上のような現象が起こると、庫内の温度より高温多湿な空気が内部に侵入し、冷却されて霜が発生します。
霜が及ぼす影響
冷却能力の低下
冷却器の付近に霜が付くと冷却能力が低下します。
上で説明したように冷却した空気を風で庫内に送りこむ仕組みを採用している冷凍庫ですが、冷却器の付近に霜が付くことによって冷風の通り道を狭めてしまいます。
道が狭まってしまうと風力が落ちてしまいます。
また、「蒸発器」の表面が霜で覆われてしまっていると、空気が直接触れて冷却されることが無くなってしまうため、冷却の効率が悪くなります。
これらのことより、霜が付くと冷却能力が下がるということが生じてしまいます。
電気代の増加
霜が付くことによってデフロスト運転が行われるとその分電気代が増加してしまいます。
デフロスト運転を行っている間は庫内の温度が上昇してしまうため、デフロスト運転が終わってから再度庫内の温度を下げていかなくてはなりません。
温度を下げる際にかかる電力は、温度を保つ際にかかるものと比べて大きくなります。
そのため、デフロスト運転を頻繁に行っていると、庫内の温度の上下動も頻繁に起こり、その分だけ電力がかさんでしまいます。
庫内の環境の悪化
霜が庫内に付くことで庫内の食材に対して悪影響があります。
霜が食材の梱包を傷つけてしまう場合や、霜が大きくなってしまうと庫内が狭くなってしまうことがあります。
霜を付けることなく庫内をクリーンな状態で保つことが必要です。
霜取り作業の手間の発生
霜取り作業を機械が完全に行うことができればいいのですが、機械の不調や、旧型の冷凍庫などで霜取りができないことがあります。
そうすると手作業で霜を取り除かなくてはならなくなってきますが、固くこびりついた霜をはがすことは非常に大変ですし、強引に取り除こうとすると機械の破損やケガの原因にもなります。
また、大型のトンネルフリーザーなどでは、機械によるデフロスト運転ではなく、手作業で水をかけて霜を溶かしていかなくてはいけない場合があります。
労力がかかるだけでなく、霜をとるために大量の水を要するため、水道代も追加でかかってしまいます。
霜の対策
これらの害がある霜ですが、どのようにすれば霜の発生を抑えることができるのでしょうか。
食品の保存方法を工夫する
まず、食品の詰めすぎは控えましょう。
食品を詰めすぎてしまうと、庫内の空気の循環が悪くなります。また、食材が多すぎると庫内の温度が上がってしまい、冷却器と庫内に温度差が生じてしまいます。
上で説明したように温度差は着霜の原因になりますので、庫内を整理して、必要のない食品は処分するなどの工夫が必要です。
また、調理したての料理などアツアツのものを庫内に入れることはもちろん御法度です。
外気に触れないようにする
次に気を付けるべきことは、なるべく外気との接触の機会を少なくすることです。
冷凍庫を利用する際、なるべくドアをすぐ閉めるようにする、ドアを開ける頻度を少なくするなどの意識を持つことが着霜を抑えます。
また、ドアのパッキンが破損していると隙間から外気が庫内に入り込んでしまうこともあります。
機械の故障や不具合がないかどうか、しっかり点検していくことも必要です。
冷凍庫の設置場所を考慮する
意外と盲点になりがちであるのが冷凍庫の設置場所です。
屋外や調理機器の隣であるなど、そもそも外気温、湿度が高い場所に設置してしまうと、霜が発生しやすい環境になってしまいます。
冷凍庫を設置する場所はなるべく、乾燥しており気温が高くならない場所を選びましょう。
最後に、霜がそもそもつかない、付きにくい原理を採用している特殊な冷凍庫を紹介します。
加工業者や農家、飲食店など業務上で冷凍庫をお使いの方は必見です。
霜の付きにくい冷凍機の紹介
ブライン冷凍機
ブライン冷凍機とは、マイナスの温度帯まで冷やしたアンモニアやアルコールなどの液体に直接浸すことで冷凍するタイプの業務用冷凍機です。
⇒⇒【ブライン凍結機と違う?】ブライン冷凍機の原理
⇒⇒リキッドフリーザーの価格と特徴を総まとめ!
霜は、食材の熱を奪い、湿度と温度が高くなった空気が冷やされることによって発生するものでしたが、ブライン冷凍機では空気ではなく液体で食材を冷却するものなので、霜が発生しません。
霜が発生しないことによってデフロスト運転を行うことなく運転し続けることができます。
その他にも液体の高い熱伝導率のために凍結スピードが速いことや、パックに入れて凍結するためスープや飲料などの凍結に向いていることなど様々なメリットがあります。
アートロックフリーザー
アートロックフリーザーは、霜が付きにくい原理を採用した業務用急速冷凍庫です。
作業時間内にデフロスト(霜取り作業)が発生しづらい新構造を採用しています。通常2~3時間に1回必要となるデフロスト(霜取り作業)が不要となり、連続運転が可能となりました。
これにより、人件費の削減や、生産効率の上昇の効果が得られ、結果大幅なコスト削減につながっていきます。
まとめ
冷凍庫にできる霜について、原因と害の詳細、そして対策案を紹介しました。
様々な悪影響を被ることがないよう、冷凍機の原理を考え、しっかりと霜が付かないよう意識していくことが大切です。
霜が付いてしまい困っている方は是非、霜を抑えることができれば理想的な冷凍が可能になりますので、上記のことを実践してみてください。