食中毒が起こる原因は!?その種類と起こりやすい食品について
食品を取り扱っている企業や、飲食店で働いている人にとって食中毒を起こさないようにすることは、最も気を付けなければならないことではないでしょうか。食中毒の原因となるものは一つではなく、様々なものが原因となって発生します。
食中毒の発症原因に合わせた対処が必要であり、誤った知識は大きな食中毒を引き起こす原因にもなりかねません・・・。
今回は食中毒の原因となるものと、その感染源となりやすい食品についてご紹介します。正しい知識をつけ、食中毒の発生を未然に防ぎましょう。
目次
食中毒とは
食中毒とは、食べ物が原因で胃腸炎や神経障害などの中毒症が起こることで、多くは腹痛や下痢、嘔吐、発熱などの症状が現れます。また、食物アレルギーが原因とされるものは食中毒には含まれません。
食中毒が原因といっても、原因となるものには様々な種類があります。どのようなものがあるのかみていきましょう。
食中毒の原因
食中毒の原因とされるものには、もともと食品中に存在しているものや食品に付着し、そこで繁殖したものなどがあります。また、原因とされるものは大きく5つに分類されています。
平成28年の食中毒発生患者は20,252人で、原因物質は以下の通りです。
細菌
細菌は目に見えない小さなもので、温度や湿度などの条件により食品中で増殖します。気温の高い6月~9月は特に細菌が繁殖しやすく、食中毒が多く発生しています。食中毒を起こしやすい細菌には以下のものがあります。
- 黄色ブドウ球菌
- ボツリヌス菌
- 腸炎ビブリオ
- サルモネラ属菌
- カンピロバクター
- 病原性大腸菌
- ウェルシュ菌
これらのほかにも多くの細菌が存在し、食中毒を引き起こす原因となっています。中でもカンピロバクターとウェルシュ菌による食中毒が多く発生しています。
カンピロバクターは牛・豚・鶏などにもともと存在する菌で、肉を生食することでそのリスクが高まります。レバ刺しや鳥刺し、牛乳などでも起こります。ウェルシュ菌は水や土壌中にいる菌で、食品ではカレーやシチューなどの大量調理された食品中で増殖します。
ウイルス
ウイルスは細菌よりも小さく、人や動物の細胞の中に入り込んで増殖します。細菌は自身で分裂、増殖できるのに対し、ウイルスは単体では増殖することができないという違いがあります。
ウイルスによる食中毒で最も多く発生しているのは「ノロウイルス」によるもので、季節を問わず一年中発生しています。ノロウイルスは人の腸内で増殖し、少量でも感染します。ノロウイルスに感染したことに気づかず調理に従事し、感染が拡大してしまうということが起こってしまいます。
寄生虫
魚や獣肉、水などに寄生している虫によっておこる食中毒があります。
特に多いのは鮭やサバなどに寄生している「アニサキス」によるものです。アニサキスは体内では成長しないため、通常は時間の経過とともに排出されますが胃や腸壁に侵入し、激しい腹痛を起こすことがあります。
自然毒
動物や植物が本来持っている有毒成分によっておこる食中毒があります。自然毒にはじゃがいもに含まれている「ソラニン」や毒キノコ、またフグに含まれている「テトロドトキシン」や貝毒などがあります。嘔吐や下痢などの症状のほかに、しびれや歩行困難、麻痺などが起こります。
化学物質
食品に本来含まれていない有害な化学物質によっても食中毒が起こります。多くは「ヒスタミン」によるもので、カツオやマグロ、サバなどの赤身の魚が原因で起こります。カツオなどの赤身の魚には「ヒスチジン」という物質が多く含まれます。
このヒスチジンが、ヒスタミン産生菌の影響でヒスタミンに変わり、ヒスタミンの量が増えることで食中毒となります。一度できてしまったヒスタミンは加熱しても分解されず、低温でも増殖するため注意が必要です。
また、洗剤や漂白剤を調味料と間違えて使用してしまうこともあるため、洗剤をペットボトルなどに詰め替えて使用している場合は、調理従事者がわかるようにきちんと表示をして食品の近くに置かないようにしましょう。
食中毒の原因がはっきりしないことも多くあります。給食施設や総菜製造などしている場合は、扱っている食材が多いこと、一つの食品を複数の施設で製造していることなどが理由として挙げられます。
また、ウイルスによる食中毒などは、食品が直接の原因ではない場合もあり感染源を特定することが難しいこともあります。
食品別にみた食中毒
食中毒の原因となるものにはこれまで挙げたもの以外にも様々なものがあります。また、食品によっても食中毒を起こす原因となるものが変わってきます。食中毒の原因となるものと特徴について確認してみましょう。
米飯・スパゲッティー
●チャーハン、ピラフ、スパゲッティー
【原因となるもの】セレウス菌
【特徴】調理したものを常温で長期間置くと起こりやすい
セレウス菌は耐熱性のある芽胞を形成(100℃で30分加熱しても死滅しない)
【対策】必要な分だけ調理し、すぐに使用しないときは冷蔵庫、または保温庫で保管する。
●おにぎり
【原因となるもの】黄色ブドウ球菌
【特徴】人や動物の傷口や鼻、のど、皮膚などに広く生息し、健康な人でも保有していることがある。
エンテロトキシンという熱に強い毒素を生成(100℃で20分加熱しても分解しない)
【対策】素手で調理することは避け、ラップや使い捨ての手袋などを使用する
肉
●牛肉
【原因となるもの】腸管出血性大腸菌やカンピロバクター
【特徴】腸管出血性大腸菌は少量でも食中毒となる。小児や高齢者は重症化しやすく死亡例もある。
【対策】調理時に十分に加熱する。生食を避ける。
牛レバーは生での提供はできない。
●豚肉
【原因となるもの】寄生虫、E型肝炎ウイルス、サルモネラ菌
【特徴】豚にいる寄生虫(トキソプラズマ)は妊娠中の女性が感染すると胎児に影響を及ぼす
【対策】調理時に十分に加熱する。生食を避ける。
豚レバーは生での提供はできない。
●鶏肉
【原因となるもの】サルモネラ菌、カンピロバクター菌
【特徴】サルモネラ菌は卵にあることが多い。
【対策】調理時に十分に加熱する。卵や肉の生食を避ける。卵の割り置きはしない。
●鹿やイノシシ、クマなどの野生動物
【原因となるもの】寄生虫、E型肝炎ウイルス
【対策】調理時に十分に加熱する。生食はしない。
魚
●海水魚・貝・海藻
【原因となるもの】腸炎ビブリオ
【特徴】腸炎ビブリオは海水を好み、菌の増殖速度が速い。
【対策】調理時に真水でよく洗う。低温で保管する。
●イカやサバ、サンマ、ヒラメなど
【原因となるもの】寄生虫(アニサキス、クドア)
【特徴】クドアはヒラメに寄生している。
熱に弱く、長時間の冷凍で死滅する。
【対策】生食する場合は-20℃で24時間以上冷凍する。
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野菜
●生野菜や浅漬け
【原因となるもの】腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌、セレウス菌、リステリア菌など土壌中にいる菌
【対策】野菜を生食する場合は、次亜塩素酸ナトリウム溶液や電解水、オゾン水などを使用し殺菌する。
煮込み料理
●カレー、スープ、肉じゃがなど
【原因となるもの】ウェルシュ菌
【特徴】ウェルシュ菌は酸素の少ないところを好む。
カレーなど大量調理された食品の鍋底付近で増殖する。
【対策】調理後すぐに提供しない場合は速やかに冷やして保管する。
真空パックされた食品
●パック済み調理品
【原因となるもの】ボツリヌス菌
【特徴】ボツリヌス菌は酸素の少ない状態で増殖する。
【対策】10℃以下で保存する。または120℃で4分以上の高温加熱を行う。
高温加熱殺菌されていない食品は、消費者が間違えないよう冷蔵庫で保管する商品であることを明記する。
まとめ
いかがでしたでしょうか。食中毒といっても、さまざまなものが原因となっています。
食中毒を起こさないためにも、原因となるものにはどのような種類があり、どのような食品で食中毒が起こりやすいかを常に意識し、食品を取り扱うことが必要です。
調理に従事しているスタッフ全員が食中毒を発生させない方法について知り、食中毒を防ぎましょう。
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