【義務化はいつから!?】HACCPの導入と急速冷凍を使う理由とは

HACCPは近いうちに必ず義務化します。今のうちに準備していないと対応が遅れ、最悪の場合、営業できなくなるという可能性もあります。
実はHACCPを導入すると生産性や品質が上がり、売上や利益率が改善されることもあり、一刻も早く導入すべきシステムです。
今回はHACCPを導入することで得られるメリットや義務化の時期と対象について解説。さらに、関わりの強い急速冷凍についてもご紹介します。
是非、最後までご覧いただき、早い時期から取り組みはじめ、生産性、商品の品質を上げつつ、義務化に備えましょう。
目次
HACCPとは

まずHACCPについて簡単にご紹介します。
HACCPとは、危害要因を取り除くのに特に重要になる工程を継続的に監視・記録する管理の方法のことです。
食の安全を確保するためには細菌、農薬などの危害要因を取り除かなければいけません。
HACCPを取り入れた管理方法では、原材料の受入から最終製品になるまでの間で起こり得る危害と、その要因をあらかじめ分析し、リスト化します。リストの中から、重要管理点(健康被害を防止する上で重要となる製造工程とそれに対する対策、基準)を決めます。
そして、その重要管理点を継続的に監視することで食品の安全を確保するのです。
HACCPとは食品を管理する上での考え方です。そのため、明確なルールやガイドラインがなく、自分で考えて取り組むことが重要となります。
ここまでの内容だと面倒だと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、HACCPを導入することで売上や利益率が良くなるなどの良い面もあります。
次の章では、なぜHACCPによってそのような改善が起こるのか解説して行きます。
導入すべき理由

先ほどもお伝えした通り、HACCPは導入することで多くのメリットが存在します。そのメリットは主に品質の向上・生産性の向上・製造量の増加です。
品質の向上
工場内が衛生的になり、製品の細菌が少なるため製品の持ちが長くなります。
また、温度管理も正確になるため、きちんと殺菌する温度でなおかつ火を通しすぎるということがなくなります。
そのため、安全でおいしい商品にすることができます。
生産性の向上
導入前には気が付かなかった無駄な製造の流れ、人の動きが見えるようになります。
無駄を減らすことができるため、生産効率が上がり製造のスピードが速くなります。
製造量の増加
問題が起こった場合には、そうなってしまった原因を見つけ、二度と同じ問題が起こらないように対処します。
工場が止まることがなくなり、稼働率があがります。
時間に対する製造数が、導入前の1.5倍に増えたという業者もいます。
参考:http://www.foodesign.net/haccp/haccp_blog_old/
zhizaodongxiannogaishande15beinoshengchanxiaolueappuwodachenggureafanzhongshi
メリットの多いHACCPですが、実は海外では、常識になっている国も多いのが現状です。ここからさらに視野を広くし、HACCPを導入すべき理由をご紹介します。
各国の義務化の状況

先ほどもお伝えしましたが、HACCPが常識になっている国は多くあります。
実は、欧米企業では「HACCPを実施していないところからは購入しない」というのが常識です。義務化が進む国では、HACCP承認施設で作られた食品でなければ輸出できないといったケースも。
実際に、EUでは規模や業種に関係なく、一時生産者を除く全ての食品事業者に対して、HACCPによる衛生管理の導入を義務付けています。また、アメリカやカナダでは水産食品や食肉など一部の食品でHACCPが義務化されています。
東南アジア諸国などの国でも状況に合わせHACCPを導入しているところが増えているようです。
日本国内の人口は減少傾向にあり、それに伴い、市場規模も小さくなっていくとも言われています。そのため、今後は輸出できるかがとても重要となります。
それもあってか、厚生労働省はHACCPを義務付ける方針です。また、2020年の東京オリンピックで日本の食品の安全をアピールする狙いもあるようです。
ここまでHACCPの重要性を解説しました。ここまでの内容に特に当てはまらなかったという方、HACCPの義務化に備え準備が必要です。ではいつまでにHACCPを導入すれば良いのか気になっている方もいらっしゃると思います。
ここからHACCPの義務化の時期についてお知らせします。
義務化は2020年頃

HACCPは、現段階では日本国内でいつ義務化されるかは定まっていません。
しかし、2018年の通常国会に食品衛生法など関連法の改正案を提出する方針を取っています。2020年には東京オリンピックを控えています。
厚生労働省はホームページに食品13カテゴリーの「食品製造におけるHACCP入門のための手引書」を挙げました。また、欧米からの義務化の要求もすでにきています。
こうしたことから、2020年頃には日本国内でもHACCPの義務化が始まると予測されます。
対象となる範囲

厚生労働省は2016年12月に「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会最終とりまとめ」を出しました。
そこではフードチェーンを構成する食品の製造・加工、調理、販売などを行う食品等事業者を対象とするとしています。まだ対象の明確な線引きは出来ていません。
EUでは、一次生産者を除く全ての食品の生産、加工、流通事業者を対象としています。
少なくとも一次生産者以外のすべての食品事業者がHACCP義務化の対象となる可能性が高いです。
中小事業者に関しては、基準を簡略化し、重要管理点を設けて衛生管理とするとしています。
そして、HACCPは導入に費用がかかるように思われがちですが、実は低コストで導入が可能です。
低コストで導入可能な理由

HACCPというと導入するのに高いコストがかかるというイメージがあるのではないでしょうか。
HACCPには明確なルールやガイドラインがありません。
例えば、1つの倉庫の真ん中に仕切りを置き2つの倉庫として使うことなども可能です。
調理機械が古くなり買い替えや修理が必要なことはあります。しかし、そういった場合でもHACCP支援法により長期低利融資を受けることができる場合があります。
HACCPは工夫次第でいくらでも低コストに抑えることができます。
HACCPの導入で防ぐ危害要因

HACCPは重要管理点を監視・記録する方法であり、危害要因を取り除くことで食品の安全を確保します。
危害要因を理解することで適切な対処を行うことができます。
危害要因は、生物要因、物理的要因、化学的要因の3つに分けられます。
物理的危害
物理的危害とは金属、ガラス、死骸などの異物混入のことです。
某ハンバーガーショップなどで話題になったと思います。
設備機器の十分な点検整備、使用器具の見直しなど行うことで防ぐことができます。
化学的危害
化学的要因とは、農薬、食品添加物などのことです。
原材料である農作物、畜産物、水産物には、栽培・飼育されている間に使われた農薬などがそのまま残ってしまっていることがあります。
仕入先評価や管理基準を定期的に見直すことで防ぐことができます。
生物危害
生物危害は主に、細菌、ウイルス、寄生虫のことです。
細菌は年々強くなっていて、ますます適切な管理が求められています。
生物要因はつけない、増やさない、やっつける、で防ぐことができます。
■原材料受け入れ時の管理、適切な手洗いでつけない。
■定温での保存や施設、器具などの洗浄、消毒で増やさない。
■食品の適切な加熱でやっつける。
この3つを適切に実施することが重要となっています。
食品の管理において温度管理は最も重要であるといえます。
ですが、商品になったものを消費者に届くまで、一定の温度で管理するのは難しく、HACCPの管理で作った商品でも、その後の管理で商品の品質が落ちてしまうことがあります。
それを防ぐのが冷凍という手段です。
商品を冷凍することで、輸送時にも管理がしやすく、細菌の繁殖も限りなく抑えることができます。また、食中毒の原因となる寄生虫を殺すことにも有効です。
冷凍することで、HACCPで管理され生まれた安全を保つことができます。また、冷凍する前のものとほぼ変わらない品質で冷凍できる急速冷凍という方法があります。
急速冷凍機で解決

冷凍した食品はおいしくない、そう思った方もいるのではないでしょうか。
素材の品質を損なわず冷凍することができる急速冷凍という方法があります。
急速冷凍とは、食材の水分が凍る温度帯を急速に通過させることで、細胞を破壊しにくくする冷凍方法です。
急速冷凍することで、食品を冷凍する前の状態に限りなく近い状態で長期間保存することができます。
そのため、おいしい状態を保ったまま、在庫として確保しておくことや日本全国に商品を販売することができます。
HACCPに急速冷凍を取り入れることでおいしさを保ちつつ、質の高い安全の確保が可能になるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
HACCPは低コストで導入可能であり、メリットも多くあります。
義務化を目の前に、HACCPを導入しない理由はないのではないでしょうか。
また、急速冷凍を取り入れることで安心安全で高品質な商品を提供することができます。
HACCPで管理された安全を高品質で長期保存し、日本中に販売してはいかがでしょうか。