食品の歩留まりとは?歩留まりの計算方法や改善するメリット、改善策を解説

食品の歩留まりとは?歩留まりの計算方法や改善するメリット、改善策を解説

こんにちは。急速冷凍機の厳選比較サイト「春夏秋凍」のライターチームです。

食品製造や加工に関わっている人で、歩留まりという言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?言葉は知っていても、どういう意味で使われるのか、また歩留まりが悪いと言われてもどのように改善したらいいのかよくわからないという人もいるかと思います。

歩留まりとは、食品だけではなく工業製品や企業での採用活動にも使われている言葉です。特に食品の場合は歩留まりと材料の原価には関係性があり、歩留まりが悪いと利益が大幅に減ってしまう可能性も・・・

そこで、20,000社以上からご相談を受けてきた当サイトが食品の歩留まりについて詳しくご紹介し、更に歩留まりの計算方法や改善方法についても解説いたします。

食品での歩留まりを改善したい人、歩留まりの計算方法について知りたい人は是非最後までご覧いただき、日々の業務に生かしましょう。

この記事で分かること/解決できること
  • 食品における歩留まりの意味と、加工工程でどのように発生するかが理解できる
  • 歩留まり率・歩留まり原価の算出方法、および良品率との違いがわかる
  • 歩留まりが悪化する原因(原材料の品質差・不良品発生・設備不良など)が把握できる
  • 歩留まりを改善することで得られるメリット(環境負荷軽減・利益向上)が理解できる
  • 歩留まり改善の具体策(教育・加工技術向上・設備導入・冷凍肉の適切な解凍方法など)がわかる

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歩留まりとは?

歩留まりとは、「ぶどまり」と読み、食品や工業製品など生産全般において原料の投入量から期待される生産量に対して、実際に得られた製品量の比率のことです。食品の場合は可食部の割合ともいえます。

歩留まり計算式

一般的に歩留まりが高いほど原料の質が高く、製造工程が優れているといえます。
牛肉を例に、歩留まりの計算の仕方や歩留まりの改善方法についてみていきましょう。

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牛が精肉になるまで

牛は生産者のもとで生産され、出荷されます。出荷された肉はいくつもの過程を経て精肉となり食卓へ並びます。

それでは、どのようにして精肉となるのでしょうか。

牛は枝肉に分割され、精肉となる

和牛の生産農家は2種類あり、繁殖農家と肥育農家があります。繁殖農家では生まれてから約8か月間育てられ、家畜市場に出荷されます。家畜市場でセリにかけられ、肥育農家で飼育されたのち出荷となります。出荷された牛は家畜市場などを通して、と畜場や食肉センターへ運ばれます。そこで、牛から皮や骨、内臓を取り除き、背骨から2分割した骨付きの状態のものを枝肉といいます。

また、枝肉から余分な脂肪や骨を取り除いたものを部分肉と呼びます。枝肉は重量が400~600kgあり、2メートル以上の大きさとなっています。一方、部分肉は枝肉を決められた方法で分割し「ヒレ」や「サーロイン」「かたロース」など部位ごとに13に分けられたものです。部分肉はさらに加工され、精肉として小売店から家庭へ届けられます。

歩留まりは枝肉の格付けに使用

牛肉を取り扱っているところで、A5等級、A4ランクなどという表記があるのを見たことがあると思います。牛肉には格付けがあり、基準は日本食肉格付協会が決めています。これは、食肉卸売市場や食肉センターにおける枝肉の公正な取引を推進するためのもので、全国で統一されています。

牛肉の格付けは「歩留等級」と「肉質等級」という2種類の組み合わせによって決まり、全部で15種類あります。格付けの等級が高いほど牛肉の金額も上がります。

■歩留等級
歩留等級はA、B、Cの3段階あり、Bが基準となり、それより高いものがA、低いものがCとなります。枝肉から骨、余剰脂肪などを除き部分肉となるのですが、枝肉から部分肉が多くとれるほど等級が高くなります。また、黒毛和種や褐毛和種、日本短角種、無角和種の4品種とこの4品種間の交雑牛は加算対象となります。

■肉質等級
肉質等級は5、4、3、2、1の5段階あり、牛肉の品質に応じた等級となります。3が基準であり、それより高いものが4または5、低いものは2または1で表します。肉質等級は、脂肪の交雑、肉の色沢、肉の締まり及びきめ、脂肪の色沢と質の4項目から総合的に決められます。上記の歩留等級、肉質等級の評価によって、牛肉は格付けされ取引されるのです。

また、格付けの際に試食は行われず、見た目での判断となります。つまり、牛一頭から多くの牛肉が取れ、サシが良く入っていて肉の色が良く、締まりの良いものが評価は高くなり、A5やA4といった等級がつきます。

※関連記事:精肉店の利益最大化のカギは原価管理と「高くても売れる理由」を作ること。

流通は部分肉が主流

いくつもの過程を経て精肉となることがお分かりになったかと思いますが、現在は部分肉での流通が多くなってきています。その理由として、枝肉より部分肉で輸送した場合の輸送コストの低減があります。部分肉は骨や余分な脂肪が除かれるため、輸送コストは枝肉の場合に比べ3割から4割程度削減されるといわれています。

部分肉は真空包装されていることが多く、鮮度保持の面においても優れており、また、部位別の取引の増加や産地での加工による作業コストや生産性の向上等の点からも、部分肉での流通が今後も増加すると予想されています。

上記の点を踏まえると部分肉から精肉への加工も、産地で行った方が効率は良いと考えるかもしれませんが、精肉に加工してしまうと肉の可食期間が短くなってしまいます。

このように、牛の部分肉を真空包装したものの可食期間は保存温度0℃で約2か月であるのに対し、精肉に加工してしまうと0℃で5~7日しかもちません。

そのため、必要な分だけ部分肉から精肉に加工していくことが重要となってきます。部分肉から精肉へ加工する際にも脂肪や端肉など食用とされない部分がでてしまい、加工の方法や肉の状態により歩留まりは変化していきます。

歩留まりの計算方法とは

加工時の歩留まりはどのように計算したらよいのでしょうか。サーロインの塊をステーキ用にカットする場合の歩留まりについて、一緒にみていきましょう。牛1頭からとれるサーロインの塊が10kgあるとします。このサーロインをステーキ用に加工した場合、1枚200gの肉が40枚できました。このときの歩留まりはどのくらいでしょうか?

食品の歩留まりの計算方法は可食部÷全体重量で示すことができます。この式をサーロインに当てはめると可食部は200g×40=8000g(8kg)となるため、8(kg)÷10(kg)=0.8となります。歩留まりが高くなると加工できる肉の量が増えるだけでなく、利益率の向上につながります。

歩留まり原価の計算方法

歩留まり原価は、商品の仕入れ価格から利益を除いた材料費です。歩留まり原価が低いほど、効率がよいとされています。歩留まり原価は、以下の式で算出できます。

歩留まり原価=原材料の原価÷歩留まり率

歩留まり率と良品率の違い

良品率は、以下の式で算出できます。

良品率(%)= 良品数÷完成品数×100

歩留まり率は、原材料に対する割合です。一方、良品率は、完成品数に対する割合のことです。良品率が高いほど、品質が安定していると判断できます。

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歩留まりが悪化する原因

歩留まりが悪化するおもな原因として、さまざまなものが挙げられます。まず、食品の品質差により歩留まりが悪化することがあります。品質差が起こる要因は、産地・季節・仕入れロット、気温や湿度、季節変動によって、原材料の水分量や形状が変化するためです。

また、不良品が多い場合も、歩留まりが悪化します。従業員の教育や研修が不十分であったり、注意点が共有されていないと、作業ミスにより不良品が発生することもあります。設備の不良や老朽化により、不良品率が高まることも考えられます。

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歩留まりを改善するメリット

上記のような、歩留まりの悪化を改善することは、自社の環境責任遂行や利益向上に大きく影響を与えます。メリットを2つに分けて解説します。

環境負荷が軽減する

歩留まり率が高く、不良品率が低いほど資源や原材料を無駄なく使っている証明になります。原材料を無駄なく使うことで、廃棄量が減り、フードロス削減に大きく貢献します。歩留まりを改善することは、CSRやESG経営の点でもメリットがあるといえます。

※関連記事:食品製造における廃棄ロスと賞味期限に対する施策

利益向上が望める

原材料をどれだけ商品として活用できるかにより、利益に大きな差が出ます。歩留まりが悪化して不良品の量が増えると、廃棄や追加投入する原材料、再加工にかかるコストが余計にかかることになります。歩留まりが改善することで、より多くの商品が作れるようになり、コスト削減と利益向上につながります。では、歩留まりを改善するためにはどうしたらよいのでしょうか。

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食品の歩留まりの改善方法

食品の歩留まりを改善するには、従業員の教育、可食部分の増加、機械や道具の整備が必要です。それぞれの方法について解説します。

製造工程を標準化し、すべての従業員に正しい作業を徹底させる

歩留まりを改善するためには、現場での意識改善、人的要因によるロスの削減が重要です。機械の操作方法を習得する研修を実施したり、標準化された作業手順を導入したりして、従業員が一貫した方法で作業を行えることが重要です。あわせて、ミスが発生することによるデメリットや問題点を共有し、従業員1人ひとりに自分事として意識させることも必要です。

可食部分を増加する

加工技術の向上や加工工程の見直しにより、可食部分を増加することで、歩留まりが向上できます。品質に問題はないものの割れていたり欠けていたりするため、店頭に並べられないものは社内販売で消費することも1つの方法です。従来は捨てていた部分を、スープに使ったり、カットの方法を工夫したりして可食部にする工夫も必要です。

機械や道具を整備する

最新技術を導入することで、野菜や肉の切断時の無駄を最小限に減らせます。また、ヒューマンエラーを減少させるために、機械の導入やロボット化も有効です。機械や道具は、定期的な整備を心がけ、突発的な不具合や故障、異物混入や食品汚染のリスクを防ぐことも重要です。

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部分肉・精肉の歩留まりを改善するためには

精肉加工時の歩留まりを改善する方法はいくつかありますが、ここでは2つの方法を紹介します。

肉の保管状態を安定させる

1つ目は肉の保管状態を安定させることです。肉は時間の経過とともに変色してしまうため、加工時は変色した部分を切り落としたり、余分な脂肪を除いたりして成形するトリミングという工程があります。肉の変色を防ぐことができると、トリミングの量が減り、加工時の歩留まりは向上します。

肉は低温で保管したほうが状態は良く、肉の温度が上がってしまうと劣化してしまうため、0~2℃での保管が望ましいとされています。また、肉の乾燥や空気に触れて酸化することを防ぐために真空包装して保管することも必要です。

※関連記事:急速冷凍機は温度が最も重要!凍結〜保管〜解凍工程ごとに解説

精肉の加工技術を向上させる

2つ目は精肉の加工技術を向上させることです。加工者によって部分肉からとれる精肉の量は変化します。そのため、歩留まりを向上させるには熟練した加工者が作業することや機械を使用して加工するといったことが必要になってきます。

※関連記事:急速冷凍技術とは?メリットや急速冷凍機の種類、急速冷凍機の選び方を解説

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冷凍肉の歩留まりの改善方法

冷凍肉のブロック

国産の肉はチルドで流通しているものが大半ですが、海外から輸入されている牛肉は約半量が冷凍での流通となります。また、豚肉は7割、鶏肉に関してはほぼ100%が冷凍の状態で輸入されており、国内で使用する際には解凍する必要があります。

肉を解凍する方法は、冷蔵庫解凍や氷水解凍を行うことが一般的ですが、解凍機で解凍を行っているところもあると思います。肉を解凍する際に適した方法をとらないとドリップが出ることが多く、歩留まりの低下につながります。

解凍時の食品の内部と外部に温度差がある場合、食品が部分的に溶け、その溶けた水分が細胞膜を傷つけ破ってしまうことにより、ドリップが流出してしまいます。

食品の歩留まりを改善させるためにはドリップの流出を防ぐことが必須であり、ドリップの流出を防ぐためには、解凍時の食品の内部と外部の温度差をなくすことが重要になってきます。解凍機は食品の内部に働きかけ、食品を均一に解凍していくものや、高湿度下で解凍することで効率よく解凍するものなどがあります。

肉の場合は、内部と外部の温度差をなくして解凍することと、加工に使用する場合は完全解凍する前の半解凍の状態で加工していくことが歩留まりの改善につながります。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。歩留まりが向上すると、商品として流通できる量が増えることだけでなく価格に直結していきます。

そのためには製造工程の見直しや食品の保存状態の向上、解凍方法の工夫などが必要となります。

食品の製造工程や解凍方法を見直し、歩留まりを向上したい人は一度、急速冷凍機の導入を検討してみてください。デイブレイク株式会社は、急速冷凍機売上シェア率1位の会社です。機械の販売だけでなくサポートも含めた提案を行っています。詳しくは、お問い合わせください。

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⇒⇒ 【保存期間が格段に伸びる!】真空冷凍するべき理由とは

木下 昌之

この記事の監修者

デイブレイク代表
木下 昌之

70年続く老舗冷凍機屋の3代目。2013年、特殊冷凍テクノロジー×ITを軸に国内唯一の特殊冷凍機の専門会社としてデイブレイクを創業。各種メディアや書籍「フードテック革命」にてフードテック企業の代表格として紹介されるなど、「急速冷凍」をコアに食品流通業界の根本改革に邁進中。

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